喜が2つの囍・ビャンビャン麺のビャンなどの合成字
中国の漢字の中で、"喜"が2つの"囍"やビャンビャン麺のビャンなど、普段は見ることのない漢字に気づかれた方も多いでしょう。
実際に漢字として用いられるというよりは、漢字が図案化されたものも数多くあり、"合成字" [hé chéng zì]として知られています。
日本では、しょかき(山口翔平)さんが創作した「ぼんのう」という「108画の漢字」が度々ネット上で話題になります。
これは本当の漢字ではありませんが、創意工夫の中で生まれた面白いアイデアです。
今回は、中国の"合成字" [hé chéng zì]について見ていきましょう。
気になる内容にすぐに移動
中国語の合成字とは?
"合成字" [hé chéng zì]を知るために、まず"合体字" [hé tǐ zì]について簡単に説明します。
漢字には、複数の漢字を組み合わせたものが多くあります。
一般的な漢字では、「にんべん」に「木」をあわせて人が「休む」様子を表す「会意(かいい)文字」や、「さんずいへん」に「可」をあわせて音を表す「形声(けいせい)文字」があります。
これらの漢字とは異なって、本来は常用語や成句だったものが、方言で使用頻度が高いことから、意図的に字形の美しさにこだわったまま独自の漢字に組み合わせられた漢字があり、これを"合成字"と呼びます。
"合成字"は"合体字"の中の特殊な種類になりますので、広い意味で"合体字"として紹介される場合もあります。
日本でも、漢字に限らず複数の文字を組み合わせた文字を「合字(ごうじ)」といいます。
難しい漢字で有名な、中国 陝西(せんせい)省のビャンビャン麺の「ビャン」の字も"合成字"のひとつです。
吉祥字とは?
幸福や繁栄を意味する"吉祥" [jí xiáng]を表す漢字があり、これらを"吉祥字"と呼びます。
これらの漢字は一般的に用いられる漢字から選ばれますが、中には祝福や繁栄を表す常用語や成句から、民間でひとつの漢字に作り上げた"合成字"を含めた総称とする場合があります。
これから、吉祥字を中心に、いくつかの例をご紹介します。
囍 - 「喜」が2つの漢字
本来は漢字ではなく、日本語では「双喜紋(そうきもん)」と呼ばれる、幸福を願うデザインです。
吉祥字のひとつですが、日本では「中華系」のシンボルとして使用される場合が多く見られます。
現在では、パソコンやスマホで表示できる漢字として扱われています。
中国語の読みは
"喜" [xǐ]
と同じ
"囍" [xǐ]
となります。
日本語での読みは定まったものはありませんが、音読みから考えると「喜」とおなじ「き」と読むことになりそうです。
招財進宝
中国の成語で
招财进宝 [zhāo cái jìn bǎo]
を一文字にしたものです。
意味は漢字のとおり、「財を招いて宝を積む」といった意味になります。
ビャンビャン麺のビャンに少し似ている気もします。
黄金万两
中国の民間の春節(旧暦の新年)に掲げられる言葉です。
財産に困ることのない、豊かな1年への願いです。
黄金万两 [huáng jīn wàn liǎng]
日進斗金
中国語の
日进斗金 [rì jìn dǒu jīn]
という成語から作られています。
「1日のうちに一斗の黄金を得られるように」という願いです。
"一斗"は「多く」の比喩ではありますが、現代では"一斗"="100斤"で、"1斤"=500gとなるものの、古代の換算では"1斗"が"12斤"となったことから、現代の12~13.5斤程度(6kg~7kg弱)と考えられています。
吉祥如意
中国の成語で
吉祥如意 [jí xiáng rú yì]
つまり、「幸福が意のままに訪れるように」という意味で、他人を祝福するときに多用される言葉です。
日日有財
中国語の
日日有财 [rì rì yǒu cái]
という祝福語が由来です。
本来、この言葉は
日日有见才 [rì rì yǒu jiàn cái]
の、「勤勉に毎日自分を鼓舞する」言葉から転じたものです。
唯吾知足
中国語の
唯吾知足 [wéi wú zhī zú]
は、「私はただ、満ち足りていることだけを知っている」という意味で、中国古代の人民の素朴な願いを反映しています。
このように、中国古代から漢字を創作してシンボルとして使う習慣がありました。
現代のネット社会でも、誰もが漢字を創作して発表することができて、手軽に楽しめます。
一方、「ビャンビャン麺のビャン」という漢字や「世界一画数の多い漢字」など、誤った情報が広がっている場合もあります。
このブログでは、正確な情報をお届けできるよう、いろいろな角度から調査してお届けしています。
今回もお読みくださり、ありがとうございました。
役に立った・気に入ったらSNSやブログで共有していただけると嬉しいです!