蛋黄酥(ダンフアンスー)と一口酥(イーコウスー) 試食レポート
本場の辣条とあわせて、"蛋黄酥"(ダンフアンスー)と"一口酥"(イーコウスー)というお菓子を、中国人の友人からもらったので、試食レポートをお届けします。
月餅(げっぺい)は中国で中秋の名月をお祝いするためのお菓子として知られていますが、蛋黄酥も並んで中秋の名月のお菓子と呼ばれることもあります。
とは言っても、月餅も蛋黄酥も、どちらも1年じゅう美味しくいただける人気のお菓子です。
- 蛋黄酥 [dàn huáng sū]
- 一口酥 [yī kǒu sū]
- 月饼 [yuè bǐng]
中国語の"酥" [sū]には、食感を表す「さくさく」の意味があります。
今回試食したのは、安徽省(あんきしょう)の1904年創業という老舗、柏兆記の"蛋黄酥"と"一口酥"です。
- 柏兆记 [bǎi zhào jì]
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蛋黄酥(ダンフアンスー)
今回の"蛋黄酥"は、白蓮蛋黄酥(バイリァンダンフアンスー)という名前です。
直径で5cmほどの手ごろな大きさです。
"蛋黄"は、漢字から想像がつくかもしれませんが、「卵黄(卵の黄身)」を意味します。
また、"白莲"(白蓮)はハスを意味します。ハスといえば、日本ではレンコン(蓮根)として食材としてなじみが深いですが、中国ではハスの種が中医薬としてよく用いられます。
- 白莲蛋黄酥 [bái lián dàn huáng sū]
- 蛋黄酥 [dàn huáng sū]
表面はパイ生地のようで、サクッとした食感とゴマの風味がいい感じです。
薄い皮の中には、濃厚なこってりした口あたりの"莲子"(ハスの種)の餡が入っていますが、濃厚さの割に甘すぎない味なので、食べやすく仕上がっています。
そして、中心には、少し固めの黄身の塩気のきいた餡が入っていて、餡の甘さを引き立てます。
この黄身の綺麗な色合いを見ると、中秋の名月のお菓子と言われるのにも納得ですね。
食べ進めると、味はゴマ風味 → 餡のさっぱりした甘さ → 塩気と後に感じる甘さ、食感は表面のサクッ → 濃厚な餡 → 黄身の固さ、という、それぞれの特徴を感じました。
ひとつの蛋黄酥で味と食感の変化が楽しめて
まさしく銘菓といえる芸術品
と言っても過言ではありません。
これの出来立てを、食べる機会があれば幸せだろうな…と思いました!
作り方は、中国の検索サイト"百度"で"白莲蓉蛋黄酥的做法"と検索すると出てくるのですが、とても手が込んでいて、とてもハードルが高そうです…
- 白莲蓉蛋黄酥的做法 [bái lián róng dàn huáng sū de zuò fǎ]
一口酥(イーコウスー)
さて、次は"一口酥"の試食です。
"一口酥"は名前のとおり一口サイズの大きさですが、これは餡が入っていない種類です。
一口で食べるのよりも2~3口で食べる方がよさそう。(中には餡入りの"一口酥"もあります。)
- 一口酥 [yī kǒu sū]
ほろほろでさくさくのクッキーのような食感で、バターは使っていないから、素朴な感じ。
柔らかい甘さが特徴です。
表面がパイ生地っぽくなっているので、口あたりの変化も楽しめます。
手作りのレシピを見ると、油で揚げる調理法が紹介されていますが、少なくともこれは、揚げているというよりは、焼いている感じで、油っこさはありません。
美味しい!
食べながら、以前にホットケーキの素で作ったクッキーの味を思い出しました。
これなら手軽に作れそう!というわけで…
偽一口酥を作ってみた
「偽物の一口酥」を作ってみることに!
結論から書きますが、今回の「偽一口酥」は失敗に終わりました。
反面教師として、ご参考までに…
「偽一口酥」は中国語で書くと"假一口酥" [jiǎ yī kǒu sū]といったところ。
"一口酥的做法"で検索すると、いろいろと出てきますが…
今回は、とにかく手軽に、ホットケーキの素で挑戦してみました。
これなら、手元にある材料を混ぜて、オーブンで焼くだけでできそうです。
ホットケーキの素150gに対して、サラダ油40g、そして砂糖を少々、これらの材料をこねて丸めます。
失敗ポイント その1
焼くと膨らむことを考えて、出来上がりサイズの半分くらいに小さく丸めることをお勧めします。
予想より膨らんで、ちょっと大き過ぎました…
ただ、これだけでは表面のサクサク感が足らない!と思い、市販のパイ生地シートを乗せてみることに…(結果からすると、これが失敗の大きな原因に…)
ゴマを乗せ、180℃に予熱したオーブンに入れて、12分ほど焼いて完成です!
とても美味しそうですね!
大成功!と思ってました…
でも…ちょっと違った…
試食してもらった
それでも、一口酥をくれた友人たちにも試食してもらいました。
「中国っぽい味で美味しい」という言葉もあったものの…
一口酥をくれた友人からは、「これは一口酥ではないよね…」という感想が…
そして、"咸口酥"という称号が与えられました…
中国語で"咸" [xián]は「しょっぱい」の意味です。
※ ちゃんと正直な感想を伝えてくれる、中国人の性格が大好きです!感謝!!
そうなんです。食感を出すために乗せたパイ生地には、思ったより塩分が含まれていて、塩気が目立ちます。
失敗ポイント その2
この塩気は食感や甘さを引き立てるのには良かったのですが、市販のパイ生地では塩気が強いので あきらめるか、パイ生地も手間をかけても自作した方が良かったです。
そんなに手軽に同じような味は出せない、という教訓です。
一口酥、作ってみたら、咸口酥(シェンコウスー)!
というオチで終わるつもりはなかったのですが…
気を取り直して、いつか再挑戦! しようかな…
今回もお読みくださり、ありがとうございました。
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