中国語のことをMandarin(マンダリン)と呼ぶ理由
結論から書くと
ポルトガル語で「高官」を表す"mandarim"が語源
です。
ここから、もう少し詳しく見ていきましょう。
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Mandarin(マンダリン)の語源
16世紀終わりごろに、インドのサンスクリット語で"councilor" (評議員)を表す"मन्त्रिन्" (mantrī)がマレーシア経由でポルトガルに入り、ポルトガル語で「高官」を表す"mandarim"となったといわれています。※ 最後は"m"です。
その後、18世紀終わり頃にフランス語の"mandarine"となり、英語の"mandarin"となった頃に、"mandarin"は「中国の高官」を指すようになった説が一般的です。
中国語のことをMandarin(マンダリン)と呼ぶ理由
"mandarin"が「中国の高官」を意味するようになり、中国の北京の高官たちが話す言葉を"Mandarin"と表すようになりました。※ 大文字にご注意!
当時の彼らの言葉は「北方官話」でしたが、1950年代から60年代にかけて「北方官話」を元に制定された中国の標準語「普通話」があり、現代では"Mandarin"は中国の標準語を指すようになっています。(中国語で"普通话" [pǔ tōng huà])
ここで、英語の辞書で"mandarin"を調べてみましょう。(和約は筆者による)
mandarin noun
/ˈmændərɪn/Oxford Learner's Dictionaries
- [countable] a powerful official of high rank, especially in the civil service
[可算] 高位の権力を持つ役人。特に文官・公務員を指す。- [countable] a government official of high rank in China in the past
[可算] 昔の中国で高官を務めた人物- Mandarin noun
[uncountable] the standard form of Chinese, which is the official language of China
[不可算] 中国の公用語である、中国標準語。- (also mandarin orange) [countable] a type of small orange with loose skin that comes off easily
(mandari orangeを参照) [可算] 簡単に皮をむける小さなオレンジの一種
さて、ここで"mandarin"は"mandarin orange"、つまり「みかん」を指すとしても紹介されています。
最後に、この点を探ってみましょう。
英語のMandarin(マンダリン)が「みかん」の理由は?
一説によると、「中国の高官が黄色の着物を身にまとっていたため」という理由から「みかん」と関連付けられているようです。
しかしながら、これを裏付けるものは見当たりません。
むしろ前後関係でいえば、青果である「みかん」より、ポルトガル語の意味のとおり中国の高官が先、と考えるのが自然だと考えられます。
現代の英語では"mandarin"は"mandarin orange"の略として「みかん」を指しますが、英語の"Chinese"が「中国語」だけでなく「中国人」「中国の物」を指すのと同様に、"mandarin"がつく単語がいくつかあります。
“mandarin”が付く英単語
英語: mandarin (orange)
日本語: みかん
中国語: 橘子 [jú zi]
英語: mandarin oil
日本語: オレンジ油
中国語: 橘皮油 [jú pí yóu]
英語: mandarin duck
日本語: オシドリ
中国語: 鸳鸯 [yuān yāng]
英語: mandarin collar
日本語: 立ち襟 (当時の中国高官の服装より)
中国語: (中式)立领 [(zhōng shì) lì lǐng]
英語: mandarin square
日本語: 正方形の装飾物(胸と背につけ階級を表した)
中国語: 补子 [bǔ zi]
中国語が"Mandarin"(マンダリン)と呼ばれるようになった背景には、長い歴史がありました。
このような歴史を知ると、納得がいく表現も多いですね。
今回もお読みくださり、ありがとうございました。
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