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英語のnoise - 良い「ノイズ」とは!?
「ノイズ」は英語の"noise"で、日本語としても十分に通用するようになっていますね。
本来の日本語だと「雑音」が適切で、決して心地よいものではありません。
でも、英語では良い意味でも用いられることがあります。
例えば、
Let us make noise!
大きな声をあげていこう!
Make a joyful noise!
喜び騒ごう!
なぜこのようになったのか、完全には不明ですが、かなり古くに派生した用法とのことです。
今回は、この"noise"の意味について、見てきましょう。
中国語についても少し触れてみます。
noiseの意味
英語の意味については英語で見ていくのがいちばん、ということで、"noise"の意味をOxford Advanced Learner's Dictionaryで調べてみました。
noise (noun)
Oxford Advanced Learner's Dictionary
- a sound, especially when it is loud, unpleasant or frightening
- extra electrical or electronic signals that are not part of the signal that is being broadcast or transmitted and which may damage it
- information that is not wanted and that can make it difficult for the important or useful information to be seen clearly
つまり、"noise"の意味は、
- 音、特に大きい、不快な、または恐ろしい音
- 伝送するための電気信号の一部ではない、余分な電気信号で悪影響を与える可能性のあるもの
- 重要または有益な情報をはっきりと得ることを難しくする、望まない情報
英英辞典で見ても、良い意味はありません。
英和辞典「プログレッシブ英和中辞典 (小学館)」を見ても ほぼ近い解説で、「耳障りな音。騒音。雑音」などがあげられています。
また、「電気信号」という言葉が出てきたのは、例えば電話は音を電気信号に変えて送りますが、周囲に存在する電気信号が邪魔になって、明瞭に伝わらなくなることから派生してできた表現で、専門用語としても「ノイズ」は定着しています。
※ "noise"は派生して動詞として使われる場合もあり、辞典に記載もありますが、一般的ではありません。
では、ここに出てきた"sound"(音)と"noise"の違いについて、引き続き見ていきましょう。
noiseとsoundの違い
"noise"と"sound"の違いも、英英辞典で見てみましょう。
noise / sound
Oxford Advanced Learner's Dictionary
- Noise is usually loud and unpleasant. It can be countable or uncountable
- Sound is a countable noun and means something that you hear
- "noise"は通常、大きくかつ不快なものです。可算にも不可算にもなります。
- "sound"は可算名詞で、何か聞こえるものを意味します。
ここまで来ると、"noise"は悪いもの、という確信まで出てきます。
語源についても少し触れていますので、読み進めてみます。
noiseの語源
"noise"の語源も読み進めてみましょう。
Middle English (also in the sense ‘quarrelling’): from Old French, from Latin nausea ‘seasickness’, from Greek nausia, from naus ‘ship’.
Oxford Advanced Learner's Dictionary
解説を付け加えると、"noise"の語源は古代ギリシア語まで遡ります。
古代ギリシア語の"ναῦς (naûs)"は「船」を意味して、そこから「船酔い」を意味する"ναυσία (nausía)"となり、これがラテン語に転じた後、古フランス語になり、中英語(中期英語・中世英語)となったとのことです。
また、中英語の時期には"quarrelling"(口論・言い争い)の意味も持つようになったとのことです。
もう、なぜ"noise"がよい意味で使われるのか、完全に分からなくなってきました…
なので、語源について詳しく書かれている、"Etymonline"の解説を見てみました。
以下は抜粋になります。
noise (n.)
From c. 1300 as "a disturbance; report, rumor, scandal." In Middle English sometimes also "a pleasant sound."
noise (v.)
late 14c., noisen, "to praise; to talk loudly about, spread by rumor or report," from noise (n.) or from Old French noisier, from the noun in French. Related: Noised; noising.
Etymonline
ここではじめて、13世紀の中英語では「快い音」という意味で用いられる場合があったという記述が出てきました。
また、14世紀末期には、動詞として「称賛」の意味を含む用法があったと書かれています。
ずいぶんと古い話ですが、いつの時代にも意味が転じることは生じていたようです。
「称賛」であれば、確かに「騒がしいけど快い音」という繋がりは見いだせました。
次のページでは、中国語と日本語の"noise"に関係する言葉を見ていきます。