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中国語: 中国語の文章が横書きなのはなぜ?

中国語: 中国語の文章が横書きなのはなぜ?
中国語の文章が横書きの疑問

日本語がとても上手な中国人の友人がいますが、「新聞とかの縦書きが読みづらい」という話を聞いて、ふと思いました。

  • 中国語の文章は、横書きしか見たことがない…
  • 日本でも習う漢文は縦書きで、中国の文章なのに…

そんな疑問を解決するために、日本語と中国語(中国・台湾)の、縦書きと横書きの歴史を調べてみました。

漢字文化の基は縦書き

漢字の基になった「甲骨文字(こうこつもじ)」は、中国の殷(商)の時代に生まれたと考えられています。

この甲骨文字は、縦書きで上から下に読む規則が明らかになっています。
ただ、次の行に移るときは、右から左へ、といった明確な規則は存在していなかったと認識されています。

世界中のほとんどの言語は横書きで、英語などのラテン系は左から右へ、アラビア語やヘブライ語などは右から左です。

日本や中国・韓国などの漢字文化の場合、元々は縦書きでした。
当時、横書きする場合もありましたが、これは縦書きが基本で、縦1文字で次の行に移るもので、右から左に進めますので、縦書きの規則どおりです。

たとえば、中国の古い建造物には下の写真のような記述があって、日本でも同様の横書き(1行1文字の縦書き)はよく知られているところです。

正大光明 [zhèng dà guāng míng] - 中国語: 中国語の文章が横書きなのはなぜ?
正大光明 [zhèng dà guāng míng]


日本語の縦書きと横書き

日本人は縦書きと横書きの両方に慣れているので、混在していても違和感はありません。

国語の教科書は縦書きだし、その他の教科は横書きが主流。
新聞の見出しは横書きでも、本文は縦書きは主流です。

漫画に至っては、1コマの中に縦書きも横書きも混在しています。

ウィキペディアを見ると詳細な歴史が掲載されていますが、ここでは少しだけ抜粋してみます。

  • 1788年(天明8年): 大槻玄沢による『蘭学階梯』が、初めて幕府公認の下にオランダ語の文字を紹介し、民衆の間に横書き文字の存在が広く知られるようになった。
  • 1885年(明治18年): 「袖珍挿図独和辞書」では語釈(日本語)を横書き
  • 1940年(昭和15年)頃から: 左横書きによる方向統一の動きが各所で散見
  • 1942年(昭和17年): 左横書きを本則とする旨の答申を出す → 閣議提案されなかった
  • 1946年(昭和21年)以降: 「読売報知新聞」をはじめとした各紙が、見出しを左横書きに変更
  • 1948年(昭和23年): 紙幣の表記を左横書き化
  • 1952年(昭和27年): 左横書きとする官房長官依命通知により、行政機関は左横書きに

出典: 縦書きと横書き (Wikipedia)


中国語の横書き

中国語も元々は縦書きだった - 中国語: 中国語の文章が横書きなのはなぜ?
中国語も元々は縦書きだった

中国も同じ事情で、古くは縦書きのみで、横書きであっても「1行1文字の縦書き」で右から左に読むことが一般的でした。

中国語といっても、台湾や香港では現在でも新聞紙面をはじめ、書籍においても縦書きも多く、日本とよく似ています。

中国語で「縦書き」と「横書き」は次のように表現します。

縦書き

纵书 [zòng shū]
直书 [zhí shū]

横書き

横书 [héng shū]

※ これ以外にも"竖排版面" [shù pái bǎn miàn]や"横排版面"などの呼び方もあります。


台湾の横書き

台湾では、2000年代初めまで右から左の横書き(1行1文字の縦書き)が見られました。

ネット上では「1980年に台湾の行政院の指令」という見解もありますが、中国語版のウィキペディアをはじめとした複数の情報源によると、実際には強制力を持つ政策はなく、国民が自発的に(現在一般的な左から右の)横書きを始めるようになったとされています。

1980年代に、台湾で出入国規制が解除されたことをきっかけに、外国の往来が頻繁になったことが、横書きの変化点になったといわれています。

1990年代半ばになると、新設立された映画新聞が(左から右の)横書き紙面を採用し、その後、多くの新聞や出版業が横書きを採用していきます。

2003年になって、政府公文書を公式に縦書きから横書きに変更したことで、公式な基準となりましたが、「聯合報」などの一部の伝統的な新聞と、文字の優美さを維持したい詩集や散文集なども縦書きを維持しています。

このような流れから、現在では台湾の縦書きと横書きの関係は日本と同じようですが、(左から右の)横書きが定着したのは2000年代初めという、長い歴史の中では「最近」と呼べる時点での変化です。

出典: 縱書與橫書 (Wikipedia)

台湾では縦書きと横書きが混在 - 中国語: 中国語の文章が横書きなのはなぜ?
台湾では縦書きと横書きが混在


中国の横書き

現代の中国では(左から右の)横書きの方が圧倒的に多いですが、20世紀初頭までは横書きの書籍は珍しかったといえます。

1917年に、『新青年』という雑誌(第三巻第三期)に、銭玄同が陳独秀への公開書簡を発表しました。
銭玄同の主張は、主に下記の理由で(左から右の)横書きが適している、とのことで、陳独秀も同意したものの、主流とはならなかった経緯があります。

  • 縦書きは労力を使う
  • 人体の目の作りには合わない
  • 漢字の筆順が左上からのため、横書きに合う
《新青年》 [xīn qīng nián] - 中国語: 中国語の文章が横書きなのはなぜ?
《新青年》 [xīn qīng nián]

钱玄同 [qián xuán tóng]
陈独秀 [chén dú xiù]
新青年 [xīn qīng nián]

1940年代には、学術著作だけでなく、普通書誌にも横書きが見られるようになりました。

1949年10月1日に、現在の中華人民共和国が成立しました。

中国の漢字簡略化(簡体字化)の動きは1935年8月からはじまりましたが、漢字簡略化政策を実施する前に、印刷物の横書き化を徐々に普及させていきました。

現代中国語の横書き文化は簡体字との関連がある、という論調もあるようですが、実際には簡体字化前から横書きの普及は進んでいきました。

1955年1月1日から「光明日報」などは横書きに変更し、同年12月30日には、文化部が「漢文書籍、雑誌横並びに関する原則規定」を発表したことで、横書きが基本とされました。

1956年1月1日からは、人民日報などの中央・地方紙はすべて横書きに改められました。

1980年代初頭まで、中国の一部の絵本などの出版物では縦書きも見られましたが、現在では復刻版の古書などのみにとどまっています。また、例外的に、日本から輸入された漫画は、縦書きを採用している場合もあります。

調べてみると、いろいろと奥が深い内容となりました。
長文となりましたが、ご覧いただき ありがとうございました。


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今回もお読みくださり、ありがとうございました。

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