中国語の"魔芋"とは?中国のおやつパックを買ってみた
先日、中国湖南省の激辛おやつを購入する時に、他にもう少し…と思ってみていたところ、気になる商品がありました。
実は、その時まで中国語の
魔芋 [mó yù]
という単語を知らず、思わず二度見して、「なにそれ!?」と思って調べてみました。
気になる内容にすぐに移動
中国語の”魔芋”は「こんにゃく」
先に答えを言うと、中国語で"魔芋" [mó yù]と書くと
こんにゃく (蒟蒻)
でした。
他にも、同じ発音で"磨芋"と書いたり、"蒟蒻" [jǔ ruò]とも呼ばれたりもするそうですが、"魔芋"がもっとも一般的とのことです。
勝手に悪魔的なものを想像していたのは自分ですが、この"魔"の字が使われているのに興味津々で、いろいろと調べてみました。
なぜ”魔”の字が使われる?
その答えは、清代の著名な医学家である赵学敏 [zhào xué mǐn](1719年頃~1805年)の記した《本草纲目拾遗》 [běn cǎo gāng mù shí yí]に見られるとのことです。
この中に、(1)こんにゃくは深い山林の中で育っていること、(2)1つの芋から作ったこんにゃくで、10人以上が満ち足りたこと、から この食物は魔力を使うとみなされて"魔芋"と呼んだと考えられています。
一方、中国でこんにゃく栽培が始まったのは、3000年程前まで遡るとも言われていますので、この説が本当に正しいかを確証する術はありません。
ここは推測の域を出ませんが、こんにゃくはサトイモの仲間で、シュウ酸カルシウムという強い毒性を持っています。
このため、調理法が確立されるまでの遥か昔には、犠牲者も出たのかもしれません。
さて、今回気になったおやつパックには、ヘルシー食材の代表格ともいえる「こんにゃく」が使われていることが分かり、見た目のジャンクさに興味をひかれたので、買ってみることにしました。
見た目はジャンクなヘルシーおやつパック 辣卤大礼包
このおやつパックは盐津铺子 [yán jīn pū zi]というメーカーから発売されているもので、江西・広西・湖南を中心とした企業体で、ポテトチップスやケーキ類などのおやつ(中国語で"零食" [líng shí])でもよく知られています。
筆者も盐津铺子のポテトチップスは食べたことはあり、普通においしいのは知っていました。
今回は、盐津铺子の"辣卤大礼包" [là lǔ dà lǐ bāo]というおやつの詰め合わせを購入してみました。
この地域の中でも、江西省や湖南省は、特に辛い食べ物で有名なので、辛いもの好きの筆者にとっては期待感が高まります。(中国語の"辣"は「辛い」を意味します。)
塩津舗子 辣鹵大礼包
今回購入したパックは8種類のおやつの詰め合わせです。
こんにゃくを原料としたおやつ以外にも、小魚や大豆ミート・辣条(ラーティァオ)など、ヘルシーそうな原材料のおやつが入っていますが、正直、見た目からはそうは思えません…
では、順番に見ていきましょう!
※ 白いお皿の直径は約12cmです。どのパックも小ぶりなサイズです。
魔芋素毛肚
魔芋素毛肚 [mó yù sù máo dù]
辛さ4 こんにゃくで作った牛のセンマイ風のおやつで、加工方法が面白いです。
薄くて歯ごたえあり、表面の凹凸(テクスチャ)がセンマイの食感をうまく出しています。(中国語で"毛肚"は「センマイ」で、人工品なので"素"がついています。 例: "素肉"=「人工ミート」)
パッケージの記載では"香辣"で辛さ4ですが、辛すぎることもなく、辛い物が特に苦手でなければ美味しく食べられる味です。
魔芋絲
魔芋丝 [mó yù sī]
辛さ2 こちらもこんにゃくで作ったものです。
細長いので、こちらの方がこんにゃくっぽいですが、歯ごたえがいい感じ。
写真からもわかりますが、牛のハチノスを意識していますね。
これは辛さ2ですが、辛さ4との区別はないような気がします。
海鮮小魚
海鲜小鱼 [hǎi xiān xiǎo yú]
辛さ3 こちらは本物の小魚です。
魚ならではの素材の味がします。
香辣 魚尾・魚排に比べたら辛くはないけど、結構辛さがあります。(← 比較対象が間違い)
ここまで、辛さの区分はよくわかりません。入っている唐辛子の量によるかも。
深海魚豆腐
深海鱼豆腐 [shēn hǎi yú dòu fǔ]
辛さ3 原材料には"小银线鱼" [xiǎo yín xiàn yú]とあります。
これは魚の種類ではないですが、淡水魚の部類なので"深海"の由来は不明です。
魚の練り物らしい風味を感じられて、食感は思ったよりもふわっとしています。
食べた瞬間、魚河岸あげ®(日本のメーカー紀文の商品)を思い出しました。
大豆たんぱくが入っているから、この食感になるみたいです。
これは揚げてはいないけど、真空パックから取り出したばかりの見た目からは、ちょっと意外なまろやかな食感でした。
かなり好きな味と食感!
辛さ3とのことだけど、いちばん辛くない感じでした。
手撕豆筋
手撕豆筋 [shǒu sī dòu jīn]
大豆ミートだからか、硬めの食感がいいです。
本物の肉とは違うのですが、肉っぽい感じが出ています。
ある程度の辛さはあるものの、味付けが濃い目なので、ごはんとあわせて食べてもよさそう。
辣辣棒
辣辣棒 [là là bàng] 麻辣味 [má là wèi]
ふわっと感がある辣条(ラーティァオ)の1種です。
口に入れた瞬間は麩のような感じだけど、弾力も歯ごたえもあります。
甘さがある分、辛さも感じます。麻辣とのことですが、しびれる"麻"は強くありません。
以前に紹介した辣条(ラーティァオ)と比べると、辛く感じます。最初の食感はずっと柔らかいので、どちらが好きかは個人によりますね。
脆骨小肉棗
脆骨小肉枣 [cuì gǔ xiǎo ròu zǎo]
豚の絵が描いてあるけど、鶏肉などが原料というフェイントです。
香辣味 [xiāng là wèi]
【写真 左】これは本物の肉だけあって、やはり肉ならではの食感とコクが感じられます。
表面の皮からしてもソーセージそのまま。
軟骨が入っていて、大きさの割にはよく噛んで食べられます。
香辣という割には辛さはかなり抑えられていて、甘みの方が引き立っています。
奥尔良味 [ào ěr liáng wèi]
【写真 右】この味の名前には、説明が必要かもしれません。
この名前は"新奥尔良" [xīn ào ěr liáng]という米国のニューオーリンズから来ています。
では、ニューオーリンズの味とは?というと味そのものの表現とは違って、中国のKFC(中国語で"肯德基" [kěn dé jī])のメニューにあるニューオーリンズ風手羽焼き(中国語で"新奥尔良烤翅" [xīn ào ěr liáng kǎo chì])を意識しているものと思われます。(実際は似ていないと思いますが…)
こちらも同様に肉ならではの味だけど、辛さが全くないため、甘みを強く感じます。
小さな子供が好みそうな味付けです。
ここでご紹介したおやつは、日本では入手は難しいと思いますが、AMAZONなどの通販で購入可能です。(かなり割高ですが…)
見た目はかなりジャンクですが、こんにゃくや小魚・大豆ミートなどのヘルシーな材料、意外に辛い本場の中国の味付けというギャップが楽しく、おいしいおやつでしたので、紹介してみました。
今回もお読みくださり、ありがとうございました。
役に立った・気に入ったらSNSやブログで共有していただけると嬉しいです!