中国 上海発のJ.CHICKEN
中国 上海発祥のフライドチキン店で、中国国内だけでなく、カナダ・フィリピン・マレーシア、そして日本にも進出している「J.CHICKEN」がいろいろと話題です。
「いやいや『話題沸騰』なんてあおっているけど、聞いたことないよ」という方も多いかもしれません。
この【話題沸騰】というのは、本場中国でもいろんな意味で話題が多いのです。
お店の話題から、独特なメニューと味についてご紹介します。
フライドチキン好きはとても美味しく、特に「モスチキン」や「竜田揚げ」系、台湾の"鶏排" [jī pái] [チーパイ]が好きな方には きっとぴったりな味ですし、ジューシーさを求める方にも満足できる美味しさです。
看板メニューの鶏1羽の丸揚げから、食べやすい小さめのフライドチキン、バーガー類などがそろっています。
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J.CHICKENの店舗

東京 上野のアメ横店では「世界7000店舗」という触れ込みらしいのですが、これが正直いって眉唾もの…
まず、中国が本拠地なのに、中国国内の総店舗数が出てこない。
国外よりも国内の方が圧倒的に多いはずのに、中国でも大人気のKFCですら、中国国内で1万店舗を突破したという報道です。
J.CHICKEN本部のウェブサイトを見ても、現在の店舗数は不明です。
直営店とフランチャイズがあるのですが、公式サイトにもすべては掲載されていません。「世界7000店舗」という掲載はなく、根拠が見当たりません。
急速に増えている中国のフランチャイズには、珍しくないことですが…
ちなみに、日本円にして100~200万円ほどで加盟店を開業できるそうで、店舗数を増やして急成長しているようです。

日本国内のJ.CHICKENの店舗
公式サイトにも正確な情報は掲載されていないのですが、日本国内の店舗は2024年1月現在で、下記の5店舗となっているようです。
- 東京: 高田馬場店・上野アメ横店・赤羽店・高円寺店
- 大阪: 道頓堀店
- 名古屋: 名古屋店 (中区新栄・茶千歳と共同店舗)
ちなみに、公式サイトに掲載されている京都のお店は、情報が見つかりませんでした。
知らない間に店舗数が変わっていそうです。
J.CHICKENの名前は「叫了個炸鶏」
話題の多い店舗名
J.CHICKENの中国での本来の名前は
叫了个炸鸡
[jiào le gè zhá jī]
[ジャオラ グゥ ジャァ ジー]
といいます。
※ "炸"は多音字で「揚げる」時は[zhá]です。
日本の漢字で「叫了個炸鶏」と書くのですが、この"叫"は中国語で「呼ぶ」という意味で一般的に使われます。
"炸鸡"は「フライドチキン」や「唐揚げ」を指す、鶏の揚げ物です。
この店名からして、お騒がせをしたようです。
"叫了个炸鸡"という名前の前は、"叫了个鸡"という店名でした。
"炸"が無かっただけですが、これが低俗だと指摘されて、店名の変更につながりました。
なぜ低俗なのか?
"叫鸡"は、中国語の隠語で「娼婦を呼ぶ」の意味になります。
フライドチキン店で"鸡"は当然食品を指すので、これだけ聞くとこじつけに感じますが、たとえば男の子が店名だけをいうと、どちらの意味にもとれるので大人はドキッとしそうです。
これだけでなく、当時の広告が問題視されたといわれています。
"没有性生活的鸡"といったキャッチコピーが、明らかに隠語が意味する方を連想させたのも一因といわれています。
さて、騒動は約1000万円の罰金を払い、2017年に店名を変えることで決着したのですが、すべてが収まったわけではありませんでした。
湖北省発のフライドチキン店"叫了只炸鸡" [jiào le zhǐ zhà jī]は、中国の21省に渡って2000店ほど展開しているチェーン店です。
お気づきのとおり、"只"か"个"かの1字違いとなってしまったのです。
このため、混乱したネットユーザーから ちょっとした「どっちが本物?」論争が起こることとなったのです。
残念ながら、"叫了个炸鸡"が店名を変えた時期が、湖北省発の"叫了只炸鸡"の創業よりも後だったため、"叫了只炸鸡"の方に軍配が上がったようです。
J.CHICKEN 実食レポート
J.CHICKEN 大阪 道頓堀店に訪問
前置きが長くなりましたが、今回、訪問したのは大阪 道頓堀店です。

近鉄・メトロ 日本橋駅(6番出口)から徒歩3分の場所にあります。
店内は、チェーン店で統一された黄色の明るく軽い感じです。
中国のお店ということで、店員さんをはじめ、周りのお客さんも中国人のようでした。
メニューには日本語もあり、日本語も いちおう通じたので、気軽に行けると思います。
J.CHICKENのユニークなメニュー
J.CHICKENのメニューは、いろいろなフライドチキンやバーガー、ジーパイ飯などがありますが、看板メニューは
まるごと一羽のフライドチキン
です。
九州 福岡では丸鶏のから揚げはよく見かけますし、最近は唐揚げチェーン店も丸鶏を提供する店もあるので、馴染みのある方も多いかもしれませんね。
「まるごと一羽のフライドチキン」は「オリジナル」か「ピリ辛」を選ぶことができます。
また、「イカ墨チキン」もあります。
どちらも食べてみたかったので、「まるごと1羽のフライドチキン ハーフサイズ」つまり半身揚げを2つで「オリジナル」と「ピリ辛」にしてみました。
それぞれの基本の味で、さらに味付けが選べるそうです。
味付けはこちら
- マーラー味
- ニンニク味
- クミン味
- 甘梅味
- ブラックペッパー味
- 塩こしょう味
今回は、「オリジナル」には「クミン味」を、「ピリ辛」には「マーラー味」を選んでみました。
「ピリ辛」+「マーラー味」は相当辛そうな予感です。
イカ墨チキン5ピース(骨なし)
さて、もうひとつの目を引く珍しいメニューは「イカ墨チキン」です。
「まるごと一羽のイカ墨チキン」もありますが、写真で見るとただの 鶏の形をした隅の塊、丸焦げになった鶏 でしかありません。
さすがに量が多いし、「イカ墨」は苦みもあるので、今回は様子見で「イカ墨チキン5ピース(骨なし)」にしてみました。
こちらは次の味付けから選べるそうなので、いちばんクセのない「塩こしょう味」を選択。
- マーラー味
- 甘梅味
- クミン味
- 塩こしょう味
ちなみに、中国語のメニューでは、"黑陨石无骨炸鸡5块" [hēi yǔn shí wú gǔ zhà jī 5 kuài]となっていて、
黒い隕石
という名前だそうです。
実食レポート
注文から出来上がりまで、15分ほどの時間がありました。
店内で食事をしているお客さんは少なかったのですが、持ち帰りやUber Eatsなどの宅配も多く出入りしていました。
席まで届けていただいたフライドチキンは、出来立てです!

手づかみで食べるので、ビニール手袋が用意されています。
ビニール手袋、中国の料理では一般的です。

「オリジナル」と「ピリ辛」の半身はそれぞれ衣の色が違って、味に変化をつけているようです。
その上に、「クミン味」や「マーラー味」の調味料をかけている感じ。
オリジナル + クミン味
まずは「オリジナル + クミン味」から。
衣はサクサクで、竜田揚げのような食感ですが、衣が多すぎることもなく、油っこさもなく、ちょうどよい感じ!
想像よりは小ぶりでしたが、この食べやすさなので、量が多くても食べられそうです。

手羽やモモなどの部位には、おそらく揚げた後に切り込みが入れられていて、簡単に取り分けることができます。
モモの部分を外すと、肉汁があふれ出てきました。

香辛料はほんのりと香る程度で、クセは強くありません。
個人的には、思ったよりもコショウのピリ辛感があって、生姜の風味をやや強めに感じました。
ピリ辛 + マーラー味
となると、「ピリ辛 + マーラー味」はかなり辛そう…

と思ったのですが、辛さはずいぶんと控えめで、正直、マーラー(麻辣)とはまったく呼べない感じです。
そういえば、上海発祥でしたね。逆に言えば、子どもでも安心して食べられる辛さです。
というわけで、意外にもあっさりとしていて、コクのあるモモ肉や、さっぱりしているむね肉といった部位の変化もあって、あっという間に食べ終えてしまいました。
イカ墨チキン5ピース(骨なし)
とはいっても、かなり満腹に近くなっていましたが、あとは「黒い隕石」こと「イカ墨チキン」です。
確かに、名前どおりの「黒い隕石」で、どう見ても炭のようにしか見えない風貌です。

ひと口食べてみると、その印象が がらりと変わります!
見た目からは想像できない程、とにかくジューシーなんです。
見た目とのギャップもさることながら、この「イカ墨チキン」にはモモ肉が使われています。
このようなサイドメニューの位置づけでよくあるのが、モモ肉よりも安価なむね肉を使っていること。
もちろん、「むね肉の方があっさりしていて好き」という方も少なくないとは思いますが、この干からびたような見た目からの意外性を演出するには、モモ肉一択だと感じます。

衣もあっさりとしていて、食べやすさには変わりありません。
しいて言えば、「オリジナル」や「ピリ辛」の衣よりも若干、八角の風味を感じたことです。
日本人だと「八角は苦手」という方もみえますが、ほとんどの人には気にならない程度だと思います。
おそらくイカ墨を使っているので、におい消しの役割があるのでしょうね。
イカ墨特有の苦さもなく、黒い色の意外性の演出用と感じました。
揚げ油もくどくなく、基本的にあっさりしたフライドチキンですので、思った以上に食べ進めてしまいそうです。
今回はフライドチキンのみでしたが、バーガーなどのその他のメニューも美味しそうです。次回は他のメニューを試してみます。
筆者が食事をしている最中も、お客さんには日本人はいないようでした。
帰り際に、"熊猫外卖" [xióng māo wài mài](パンダのテイクアウト)という中国版Uber Eatsによるサービスも来ていました。

本場の中国料理だけど、誰もが入りやすくて食べやすい、気になる方はぜひ試してみてください。




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