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中国語で「ご遠慮ください」のように表現を丁寧でやわらかく
突然ですが、あるレストランに行ったとき、こんな案内を見たとしたら、いかがでしょうか?
お客様へ
タバコは吸うな
食事は持ち帰るな
ご協力に感謝いたします。
日本語であれば、こんなに唐突に尖った表現することはあり得ないはずなのに、外国語だと翻訳サイトに頼らざるを得なくて、結果としてこんなふうになってしまっている例を見かけます。(やや極端な訳ですが…)
ここは「禁止」ではなく、「ご遠慮ください」と表現したいところですね。
中国語で丁寧なお断り表現は”请勿○○”
日本語でいう「ご遠慮ください」の表現にいちばん近い中国語の表現は"请勿○○"で、かなり幅広く使える便利な表現です。
"请"がつくので「お願い」の表現ではありますが、「ご遠慮ください」よりも強制力のある「~しないでください」の意味合いがありながらも、丁寧な表現です。
"请勿"の後には、動詞+名詞をつけます。
この"请勿○○"の具体的な使い方は、後ほど例をあげてご紹介します。
中国語で「お願い」を表す”温馨提示”
「お願い」で覚えておきたい表現があります。
温馨提示 [wēn xīn tí shì]
この表現を冒頭に付け加えることで、さらに優しく丁寧な「お願い」の表現になります。
英語でいうところの"gentle reminder"で、丁寧に「思い起こさせる」ための表現です。
「ご遠慮ください」の中国語は”请不要○○”?
翻訳サイトなどで「ご遠慮ください」を翻訳してみると"请不要" [qǐng bù yào]という結果を目にすることも多いと思います。
"请勿"を使った方がよい、という理由は、
- "请不要"は口語的な表現
- "请不要"は強めの禁止表現
で、"请不要"は書き言葉としては用いられず、話し言葉で"请"がついていても表現としてはきつくなってしまうのです。
ですので、翻訳サイトで翻訳したままの中国語で"请不要"を使った場合、冒頭の例のように「~するな」という表現に感じてしまっても不思議ではありません。
もし、話し言葉(口語)であれば"不用○○" [bù yòng]"または"别○○" [bié]を使う方が柔らかくなります。("请不用○○"または"请别○○"だとより丁寧です。)
请勿"を使うと次のようになります。
亲爱的顾客,
请勿吸烟 [qǐng wù xī yān]
请勿打包饭菜 [qǐng wù dǎ bāo fàn cài]
非常感谢您的合作。
もうひとつ気づかれたことがあるかもしれません。
このように2つだけならまだしも、3つ以上"请勿"が続いてしまうと、表現がくどくなってしまうと感じる方も多いことでしょう。
このような場合は、次のように最初に「ご遠慮ください」に相当する注意書きを書いて、下に項目を並べて書く方法があります。
箇条書きにすると、日中辞書や翻訳サイトが使いやすく、難易度がずっと下がりますね。
温馨提示
请注意下列的禁止项目
[qǐng zhù yì xià liè de jīn zhǐ xiàng mù]
- 吸烟
- 打包饭菜
さて、ここで"请勿"ではなく、"注意"と"禁止"という単語が出てきました。
日本語でも使われる単語ですが、中国語の"请注意"は「お気をつけください」の意味になります。また、"禁止项目"は「禁止事項」という意味ですが、最初が丁寧なので、それほど強すぎる表現ではありません。「おことわり」に近い表現とも言えます。
でも、中には、「禁止を使うより、もっとやわらかくしたい」という場合もあることと思います。
確かにその通りで、このような場合、
请选择下列的项目
[qǐng xuǎn zé xià liè de xiàng mù]
推荐项目如下
[tuī jiàn xiàng mù rú xià]
とすることで、「お勧め」つまり「お願い」の表現となります。
突然ですが、ここでひとつクイズです!
次の中国語の意味は何でしょうか?
日本の漢字での表記を、下に記載しました。
请勿喧哗 [qǐng wù xuān huá]
請勿喧嘩
答えは「お静かにお願いします」です。
日本語では「喧嘩(けんか)しないでください」に見えてしまうのですが、日本語の「喧嘩」にも「騒がしいこと」の意味があります。
一方、中国語の"喧哗"には「けんか」の意味はありません。
※ 中国語で「けんか」は、"争斗" [zhēng dòu]、"打架" [dǎ jià]、"吵架" [chǎo jià]といった表現になります。
また、「お静かにお願いします」の表現として
请保持安静 [qǐng bǎo chí ān jìng]
もあり、日本語の「安静(あんせい)」とも意味は違いますが、日本人の感覚としては、こちらの方が使いやすいかもしれませんね。
さて、日本語でも同様ですが、"禁止"はあまり連発するものではありません。
お客様相手の商売であれば、いうまでもないことですね。
では、お店などでよく見かける「お手を触れないでください」は、中国語ではどのように表現するのでしょうか?
これは通常、"请勿"を使う方が適切です。
请勿触摸 [qǐng wù chù mō]
ただ、触ることによって人が怪我をするなどの恐れがある場合、
禁止触摸 [jīn zhǐ chù mō]
という短く簡潔な強いメッセージが必要ですね。
禁止 - 中国語と日本語
少し上で出てきたとおり、日本語でも「禁止」といいますが、中国語でも同じ"禁止" [jīn zhǐ]という単語があります。
どちらも強い「してはならないこと」を表しますが、一般的に中国語の"禁止"の方が、日本語よりもより強い「禁止」と捉えられる可能性があります。(人によって感覚は異なります。)
人によっては中国語の"禁止"は、日本語でいえば「厳禁」くらいの程度に感じる場合もあるようです。中国語にも「厳禁」という単語は"严禁" [yán jīn]として存在しますが、相当な危険性がない限り使うことはないようです。
もちろん、重要な禁止事項については"禁止"を使うべきですし、短いサインでは"禁止"を使う例もあります。
内容を示すマーク(ピクトグラム)とあわせて使うのが一般的ですね。
例
- 禁止吸烟 [jīn zhǐ xī yān]
= 喫煙禁止 - 禁止拍照 [jīn zhǐ pāi zhào]
= 撮影禁止 - 禁止饮食 [jīn zhǐ yǐn shí]
= 飲食禁止
"禁止"は動詞ですので、中国語ではこのように最初に"禁止"がついて、その後に動詞(+名詞)を続けます。
例えば、持ち込み禁止物品がいくつかある場合など、次のように注意書きをまとめる方法もあります。
禁止携带下列物品
[jīn zhǐ xié dài xià liè wù pǐn]
中国語で「関係者以外立ち入り禁止」
最後に、「関係者以外立入禁止」という表現ですが、日本ではやわらかい表現にするために あえて英語で"Staff Only"などと表示している場合もよく見かけます。
この表示は、中国語では主に以下のようになります。
- 游客止步 [yóu kè zhǐ bù]
- 顾客止步 [gù kè zhǐ bù]
- 员工通道 [yuán gōng tōng dào]
- 员工专用 [yuán gōng zhuān yòng]
"游客"や"顾客"は「お客様」を、"员工"は「スタッフ」を意味する言葉です。
最後の"专用"という中国語は、日本の漢字で「専用」です。
"步"という字が少し違うのは、中国の字体です。
日本のサービスは世界でもトップクラスといわれています。
そんな「おもてなし」に期待を込めて日本を訪れる観光客も多くいて、「また来たい」と思う方も多くいます。
一方、日本ならではの習慣などを知っていただいて、遵守していただきたいことがあるのも、また事実です。
こんな時、この記事が、中国語圏からのお客様に対して丁寧な「おもてなし」のお手伝いとなれば嬉しいです。
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今回もお読みくださり、ありがとうございました。
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