「殺」を使った日本語の比喩表現
日本の漢字「殺」は中国の簡体字では"杀" [shā]です。
基本的に漢字の意味は共通ですが、使い方が異なる場合はよくあります。
今回は「殺」の比喩的表現を、中国語で解説した記事をご紹介します。
英語による記事はこちらをどうぞ。
中国語版と英語版は、それぞれの文化を加味した表現のため、若干内容が異なる部分があります。
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日常的な「殺」の用法
中国語の"杀"は文字どおり"殺す"です。
自分を殺す
ただ、日本語で「自分を殺す」といえば、「自殺」ではなく「自分の気持ちや感情を抑える」の意味が一般的でしょう。
声を殺す
殺風景
殺到する
忙殺
黙殺
他にも「声を殺す」「殺風景」「殺到する」「忙殺」「黙殺」など、「殺」を使った比喩は日本語ならではのもので、中国語には無い用法です。
ちなみに中国語には"杀风景"という言葉はありますが、日本語の「殺風景」とは違って「美観を損ねる」といった意味になります。
野球で使う「殺」
野球は殺人的な競技ではないことはだれもが知っていますが、アウトを取る手法では「殺」がよく使われます。
でも、英語では"kill"は使いません。
併殺 [へいさつ]
中国語: 双杀 [shuāng shā]
英语: double play
三重殺 [さんじゅうさつ]
中国語: 三杀 [sān shā]
英语: triple play
封殺 [ふうさつ]
中国語: 封杀 [fēng shā]
英语: force play
専門家が使う「殺」
相殺
会計上では、お互いが同種の債務を持っている場合、双方の債務を対等額だけ消し合うことを「相殺 (そうさい)」いいます。
互いに殺しあうことは「相殺 (そうさつ)」と、読みが異なるのは興味深いです。
機能を殺す
ポートを殺す
エンジニアは、特定の機能やポートを使えなくすることを、このように表現することがあります。
はめ殺しの窓
開閉のできない、ガラスをはめただけの窓は「はめ殺しの窓」と呼びますね。
中国語では"密闭窗" [mì bì chuāng]や"固定窗" [gù dìng chuāng]と呼びます。
このようなお話を、中国語と英語で書いてみました。
中国語や英語の勉強に、また日本文化を通じた周りの外国の方との交流の場となれば嬉しいです。
今回もお読みくださり、ありがとうございました。
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