気になる内容にすぐに移動
メトロの名前がつく日本の地下鉄
東京メトロ
東京の地下鉄は「東京メトロ」と「都営地下鉄」があり、「東京メトロ」は東京地下鉄株式会社が経営する民営地下鉄で、「都営地下鉄」は東京都(東京都交通局)が経営する公営地下鉄です。
大阪メトロ
大阪の地下鉄が、「大阪メトロ」「Osaka Metro」と呼ばれるようになったのは、2018年4月より経営が大阪市交通局から大阪市高速電気軌道株式会社に継承されて民営化となったのをきっかけに、「大阪市営地下鉄」から名称変更されました。
その他の都市の地下鉄
日本国内で「メトロ」という名前を使用しているのは、2023年現在で東京と大阪のみです。
その他の主要都市で、「地下鉄」という名称をしているのは下記のとおりで、各地の交通局が経営しています。
- 札幌市営地下鉄 (札幌市交通局)
- 仙台市地下鉄 (仙台市交通局)
- 横浜市営地下鉄 (横浜市交通局)
- 名古屋市営地下鉄 (名古屋市交通局)
- 京都市営地下鉄 (京都市交通局)
- 神戸市営地下鉄 (神戸市交通局)
- 福岡市地下鉄 (福岡市交通局)
こんなふうに見てみると、「メトロ」がなにか「民営化」と関係しているようにも感じさせられます。
解答: 「メトロ」はフランス語が語源で、地下鉄の「民営化」とは無関係
結論から言うと、「メトロ」はフランス語が語源の言葉で、英語でも使われますが限定的です。
「メトロ」という呼び名と「民営化」とはまったくの無関係です。
カタカナ言葉にすることで「変わった感」「新しい感」を演出している、よくある日本の風潮です。
「メトロ」は英語ではない?
フランス語の"métro"が語源ですが、英語の文面にも"metro"や"the Metro"として出てくることがあります。(よく見ると、フランス語の綴りにはアクセント記号がありますね。)
簡単にいうと、"metro"は、地下鉄の中でも特に、フランスのパリの地下鉄を指す言葉です。
"metro"は略語ではありますが、"o"で終わっている単語は英語らしくはないもので、別の言語(主にラテン系言語)からの言葉と捉えることができます。
英語で地下鉄を表す言葉
英語で、地下鉄を意味する言葉はいくつかあります。
日本では「地下鉄は英語でsubway」と習うことが多いと思うのですが、実はこの「サブウェイ」もアメリカ英語(米語)です。
Oxford Advanced Learner's Dictionaryには、"metro"の定義の項に、地下鉄全般について書かれていますので、もう少し見ていきましょう。
"metro"の意味
はじめに"metro"の意味です。
metro noun
Oxford Advanced Learner's Dictionary
(also the Metro) [singular] an underground train system, especially the one in Paris
metro 名詞
Oxford Advanced Learner's Dictionary(筆者による和訳)
(the Metroとしても用いられる) [単数形] 地下鉄で、特にパリのものを指す。
このように"metro"はフランスのパリのものを指すことが明記されています。
この和訳では、"underground train system"を「地下鉄」としています。
"underground"は、カタカナ読みをすると「アンダーグラウンド」で少しヤバそうな感じもするかもしれませんが、単に「地下」という意味で、これだけでも「地下鉄」を意味する場合もあります。
また、"system"も日本語でいう「システム」とは意味合いが異なり、地下鉄の鉄道車両などに限定せず、レールから改札・駅などの施設・設備、運営までの全体を指す言葉です。
"subway", "underground", "metro", "tube"の使い分け
"subway"との違いは何でしょうか?続きを見ていきましょう。
British/American
Oxford Advanced Learner's Dictionary
underground / subway / metro / tube
A city’s underground railway system is usually called the underground (often the Underground) in British English and the subway in North American English. Speakers of British English also use subway for systems in American cities and metro for systems in other European countries. The Metro is the name for the systems in Paris and Washington, D.C. London’s system is often called the Tube.
英語/米語
Oxford Advanced Learner's Dictionary(筆者による和訳)
underground / subway / metro / tube
都市の地下鉄は通常、イギリス英語で"the underground"(しばしば"the Underground")と呼ばれ、北アメリカ英語では"subway"と呼ばれます。
イギリス英語話者はまた、アメリカの都市の地下鉄に対して"subway"を、その他のヨーロッパ諸国の地下鉄に対して"metro"を使います。
"The Metro"は、パリとワシントンDCの地下鉄に対しての名称です。
ロンドンの地下鉄は、しばしば"Tube"と呼ばれます。
ちなみに世界初の地下鉄は、イギリスのロンドンで開業したもので、1863年のことです。
このように、大きな違いは英語か米語かによるもので、地下鉄の地域において名称を使い分けていることになります。
残念ながら、東京や大阪のメトロについては触れられていません。
"metro"の語源
Word Origin
Oxford Advanced Learner's Dictionary
early 20th cent.: from French métro, abbreviation of métropolitain (from Chemin de Fer Métropolitain ‘Metropolitan Railway’).
語源
Oxford Advanced Learner's Dictionary(筆者による和訳)
20世紀初期: フランス語の"métro"、"métropolitain"の略語から ("Chemin de Fer Métropolitain"つまり"Metropolitan Railway"から)
つまり、フランス語の"Chemin de Fer Métropolitain"という大都市鉄道(英語で"Metropolitan Railway")から、"métropolitain"と略され、さらに"métro"に略された、ということになりますね。
本来の意味とはずいぶんかけ離れた略し方になっていますが、どの言語でもあることなのでしょうね。
"metropolitan"の意味
仏英辞典を見てみると、フランス語の"métropolitain"も英語の"metropolitan"も同義のようです。
英日辞典で"metropolitan"を調べてみると、
metropolitan 【形容詞】
- 大都市らしい、大都市に固有の
- 大都市を構成する
とあります。
世界最初の地下鉄が建設されたのも、ロンドンには建物が多すぎて地上に鉄道を建設することができなかったのが理由で、ずいぶんと昔のことながらも、現代の都市事情と変わりがなかったのですね。
今回もお読みくださり、ありがとうございました。
役に立った・気に入ったらSNSやブログで共有していただけると嬉しいです!