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英語で「安心した」「ホッとした」
英語でよく使われる”relieved”
日本語の「安心した」「ホッとした」にいちばん近い表現は、
relieved
という形容詞です。
これは動詞としての"relieve"(安心させる)の過去形・過去分詞形となる"relieved"と同じ綴りですが、形容詞として用いられます。
英英辞典による解説も見てみましょう。
relieved adjective
Oxford Advanced Learner's Dictionary
feeling happy because something unpleasant has stopped or has not happened; showing this
説明によると、
「何か喜ばしくないことが終わった、もしくは起こらなかったことからの、幸せな(嬉しい・満足な)気持ち。これを表すこと。」
ということになり、ぴったりの表現です。
こんな感じで使うことができます。
I am relieved.
私は安心した。
I am relieved with your kind words.
あなたの優しい言葉で安心させられた。
状況に応じて「安心した」の意味になるその他の表現
確かに"relieved"という単語は、日本語の「安心した」に近いものです。
ただ、「英語のあるある」で、日本語そのままの表現を探そうとすると「あれ、何ていうの?」とつまづいてしまうことは少なくありません。
「安心した」という表現も例外ではありません。
先ほどのOxford Advanced Learner's Dictionaryの解説に"feeling happy"とあるとおり、例えば友人の大変な状況を知っていて、それが解決したことを聞いた時には、
I am now happy to hear that.
それを聞いて安心したよ。
と、安心の共感の表現として十分なものになります。
同様に、
I am pleased ~
I am delighted ~
のような喜びの表現も使うことができます。
また、"hearten"という「励ます・元気づける・勇気づける」という動詞の受け身を使って、
I am heartened by your kind words.
あなたの優しい言葉で励まされました。
というと、心配事が和らいだ時のような、「ちょっと安心した」を表現することもできるでしょう。
堅い表現の「安心」
ニュースなどでは、堅い表現として
reassure
が一般的に使われます。例えば、
The government reassured the people.
政府は人々を安心させた。
この"reassure"は、「保証する」「確信させる」という意味の"assure"という動詞に、「再度」の意味の接頭語"re-"がついたものですので、分かりやすいかもしれません。
中国語で「安心した」「ホッとした」
中国語の表現は”安心”と”放心”
「安心」という日本語は中国語の
安心 [ān xīn]
と漢字も同じで、発音も(珍しく)日本語とほぼ同様なので、まさに「安心」です。
ただ、「安心した~」の流れなのに、ネイティブは
我放心了 [wǒ fàng xīn le]
と言うことも一般的です。
中国語の"安心"=日本語の「安心」
とだけと思ってしまうと、その人が「放心(ほうしん)」してしまったかと心配になってしまいます。
でも安心してください。
中国語の"放心"は、日本語の「放心(ほうしん)」ではなく、「安心」の一般的な表現です。
中国語の”安心”と”放心”の違い
では、中国語の"安心"と"放心"にはどのような違いがあるのでしょうか?
気持ち的には"安心"と"放心"には大きな違いはありませんが、対象となる部分には違いがあります。
安心 [ān xīn] = 心情的な安心・ホッとする
放心 [fàng xīn] = 心配事に対する安心
単に「ホッとした」場合には"安心"が適切で、自分自身の気持ちについて使う時に一般的な表現です。
一方、"放心"は具体的な心配事がなくなった時の「安心」や、問題を持っている(持っていた)相手に対して使うことが多い「安心」の表現になります。
このことから、相手との話の中では"放心"の使用頻度が高くなるのではないかと思います。
例えば
请你放心吧 [qǐng nǐ fàng xīn ba]
どうかご安心ください
と、心配事に悩んでいる相手に対して言うことができます。
中国語の”安心”と”放心”の対義語
先ほどの例は
请你不要担心吧 [qǐng nǐ bù yào dān xīn ba]
どうかご心配なさらずに
と言い換えることができます。
つまり、"放心"の対義語は"担心" [dān xīn](心配)と捉えると、"放心"の意味が分かりやすいかもしれません。
"安心"の定義は中国語辞典によると
安心
心情平和宁静 [xīn qíng píng hé níng jìng]
心情的に穏やかで静かな状態
となりますので、"担心"も対義語ではありますが、
「リラックス(くつろぎ)」の意味の"轻松" [qīng sōng]の対義語でもある
紧张 [jǐn zhāng] = 緊張
も、この使い方では"安心"の反対と言えるため、分かりやすいかと思います。
日本語の「放心」の英語・中国語は?
まず、日本語の「放心」の意味は、辞書を見ると
放心 ほうしん
デジタル大辞泉(小学館)
- 心を奪われたりして、魂が抜けたようにぼんやりすること。「あまりの出来事に―して立ちつくす」「―状態」
- 気にかけないこと。心配ごとを心から払いのけること。放念。「どうぞ御―ください」
とありますが、多くは1の意味で用いられると思います。
「放心する」の英語
「何かに気を取られて集中できない状態」を示す英語は
distracted
がいちばん近いものになります。
何かをやり遂げた(やってみた)後などに、ぐったりする状態でも使われることがあります。
単に「集中できない」状態を表すには、
unable to pay attention
cannot stay focused
の方が適切になります。
「放心する」の中国語
中国語の表現は幅広くありますが、まず思いつくのが
恍恍惚惚 [huǎng huǎng hū hū]
という表現で、日本語にもある「恍惚(こうこつ)」です。
日本語の「恍惚(こうこつ)」を辞書で見ると
恍惚 こうこつ
デジタル大辞泉(小学館)
- 物事に心を奪われてうっとりするさま。「恍惚として聴き入る」「恍惚の境地」
- 意識がはっきりしないさま。
で、近いものがあります。
この言葉を使った成語も多く、このような表現があります。
心神恍惚 [xīn shén huǎng hū]
心绪恍惚 [xīn xù huǎng hū]
精神恍惚 [jīng shén huǎng hū]
迷离恍惚 [mí lí huǎng hū]
神情恍惚 [shén qíng huǎng hū]
神思恍惚 [shén sī huǎng hū]
これ以外に、「上(うわ)の空」や「気もそぞろ」といった意味合いのある
心不在焉 [xīn bù zài yān]
という成語もあります。
開いた口が塞がらない
「放心」とは意味合いが少し異なりますが、驚いたときなどに思考が停止して言葉も出ないことがあります。
中国語では、戸惑って心が落ち着かない状態を成語で
六神无主 [liù shén wú zhǔ]
といいます。
また、「ぽかんとする」や「きょとんとする」に近い表現は
发呆 [fā dāi]
ともいいます。
日本語では「開いた口が塞がらない」なんて表現もしますが、面白いことに英語の会話では
jaw-dropping
と「あごが落ちる」ということができ、英語辞典にも掲載されている言葉です。
今回もお読みくださり、ありがとうございました。
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