好 - 中国語では使い方が結構違う
「好」の漢字は日本語でもよく使われますが、中国語では使い方に結構違いがあります。
中国語のあいさつとして有名な"ニイハオ(ニーハオ)" または、この疑問形になる"ニイハオマ?(ニーハオマ?)"は一度は聞いたことがあると思いますが、この時の"ハオ"はこの"好"が使われて、日本語の(中国語も同じく)「良好(りょうこう)」と同じ感覚になります。
この「好」という漢字について、いろいろと見ていきましょう。


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「好」の漢字の起源
「好」という漢字は古代から見られるもので、現代で確認できる最古の漢字と言われる「甲骨文字(こうこつもじ)」で既に確認されています。
この「甲骨文字(こうこつもじ)」は、古代中国で占いをカメの甲羅や牛の肩甲骨に刻んでいたもので、殷(商)の時代の遺跡から出土しています。

見たとおり「女」と「子」から成り立っていますが、本来の意味は学界でもいくつかの意見があるとのことです。いくつかの説をご紹介します。
- 女性の美しさを指す
- 本来は苗字に使われていた
- 古代の子どもを産む女性は素晴らしいという観点から、悪いことの対極となる意味
説にはいろいろありますが、この「好」という漢字の基本的な意味は
美しい
良好
完璧な程度
を表しています。
中国語での”好”の意味・使い方
現代の中国語では"良好"[liáng hǎo]という日本語と同じ感覚の「良好(りょうこう)」としても"好"は使われますが、ここから派生して次のような意味をもっています。
- 良好
- 程度が高い
- 完了した
- 趣味・嗜好
- 友愛(ゆうあい): 兄弟・友人の間の親しみ・他に対しての深い思いやり
- 和睦(わぼく): 争いをやめて仲直りすること
「良好」としての”好” [hǎo]
現代の中国語では「良好(りょうこう)」以外でも、頻繁に使われます。
- 返事の「はい」としての"好"と「いいえ」を表す"不好" [bù hǎo]
- 「いいかどうか」を尋ねる"好吗?" [hǎo ma]や"好不好?" [hǎo bù hǎo]
- 「あまり良くない」ことを示す"不好" [bù hǎo]
- 「いい」「いいよ」「いいねえ」を表す"很好" [hěn hǎo] ("很好啊" [hěn hǎo a])
- 「いいよ」「いいでしょ」を表す"好吧" [hǎo ba]
- 食べ物や飲み物がおいしいを表す"好吃" [hào chī]や"好喝" [hǎo hē]
- 目で見たり、聞いたりして「美しい」「心地よい」を表す"好看" [hǎo kàn]や"好听" [hǎo tīng]
これ以外にもたくさんありますが、これらは総じて「良い」に関連した意味で使われています。

「程度が高い」としての”好” [hǎo]
この場合は「とても」を意味する"非常" [fēi cháng]と同様で、この使い方では「良い」ということとは基本的に無関係になります。
最初の例のように、"非常好"という形で「良好」の意味に程度をつける場合もありますが、この場合は"好"自体が程度を表すことなります。
ほんの少しの紹介ですが、例えばこのような表現です。
好多了 [hǎo duō le]
すごく多い
好好休息 [hǎo hǎo xiū xí]
しっかり休む(よく休む)
好累了 [hǎo lèi le]
すごく疲れた
好困 [hǎo kùn]
すごく眠い
好疼 [hǎo téng]
ひどく痛い
好差 [hǎo chà]
すごく悪い
このように悪いことの程度が甚だしい場合でも"好"を使うことがありますが、例外もあります。
好厉害 [hǎo lì hài]
と書くと、「とても素晴らしい」の意味となります。
本来"厉害"だけでは「凶暴」「受け入れ難い」と言う意味ですが、ここから転じて"好厉害"と表現すると良い意味になります。
※ さらに転じて"厉害"だけでも良い意味で使われる場合もあります。
「完了した」としての”好” [hǎo]
本来は「ちゃんと終わった」という感じの表現で、例えば
准备好了 [zhǔn bèi hǎo le]
準備が終わった
のように使います。「完了」としての"好"は使える場面が限られています。
詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
「趣味・嗜好」としての”好” [hào]
趣味などを表す場合、"好"は動詞として用いられることが多く、主に文章としての表現になります。
実は、"好"は"多音字" [duō yīn zì]と呼ばれる複数の読み方をもった感じのひとつで、動詞の場合は[hào]と第四声に発音が変わります。

動詞としては、このような表現があります。
好 [hào]
喜好 [xǐ hào]
爱好 [ài hào]
使い方は、
我好弹钢琴 [wǒ hào tán gāng qín]
私はピアノを弾くのが趣味です。
のようになります。
実は、中国語で「私の趣味は…」と言う時は"爱好"(愛好)は使わない
また「趣味」という名詞として、
爱好 [ài hǎo]
という表現もありますが、文章上での表現で会話ではほとんど使いません。
また、会話の中でこの単語が出てきた場合でも、一般的に[hào]の発音が使われることが多いようです。(地域や人にもよりますが…)
では、次ページで、会話の中で「○○が好き」という場合について、見ていきましょう。