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名前は近いけど別物の中華料理 原型となった料理は判別可能
ラーメン
ラーメンは漢字で書くと拉麺になり、中国語では"拉面" [lā miàn]となります。
日本でもいろいろな味のラーメンがありますが、この漢字の意味は「引っ張る(ことで作った)麺」ということで、味というよりは麺の種類になります。
中国でも多種多様な"拉面"がありますが、"甘肃省"[gān sù shěng]の"兰州牛肉拉面" [lán zhōu niú ròu lā miàn]は有名です。

日本で独自に進化したラーメンは、中国に逆輸入されて人気があり、"日式拉面" [rì shì lā miàn]と呼ばれています。
逆に、"日式拉面"といいながらも、日本のラーメンと同じ味とはいえません。
餃子 (ギョウザ)
中国から入ってきた餃子ですが、これも日本独自の路線を進みました。
日本の餃子の皮は薄く、焼き餃子が一般的です。
中国の"饺子" [jiǎo zi]は皮は厚く、茹でたりスープに入れたりするのが一般的です。
"饺子"を焼くとしたら、前日などに残った場合に焼いて食べることがある、という程度です。
![餃子 (ギョウザ・ギョーザ) vs 中国の"饺子" [jiǎo zi] | 餃子](https://blog.enjo.life/wp-content/uploads/2022/08/chinese-dishes-jiaozi-300x200.jpg)
炒飯 (チャーハン)
チャーハンも多くの種類がありますが、中国においてもいろいろな種類があります。
そのなかで、日本のチャーハンと原型になったのではないかと思われる有名どころは、江蘇省地域の"扬州炒饭" [yáng zhōu chǎo fàn]ではないかと推測します。
中国の"炒饭"は、日本の中華料理店で食べる味よりも優しく、単品で食べてもおかずと一緒に食べてもおいしくいただけます。

ただ中国では、日本のように「ラーメン + ギョーザ + チャーハン」のような組み合わせはしません。
どれも主食なので、このようなセットは日本独自のものです。
麻婆豆腐 マーボー豆腐
麻婆豆腐の見た目は日本のものと大きく変わりませんが、とろみは使いません。
1862年創業の四川省にある"陈麻婆豆腐店" [chén má pó dòu fu]というお店が発祥で、この豆腐料理を作った"陈麻婆"という呼び名の女将さんから命名された料理です。
※ 日本で有名な料理人 陳建民氏・陳健一氏とは無関係です。
陈麻婆豆腐店は日本にも出店しています。(現在の味が当時と同じかは不明です。)
陳麻婆豆腐店のウェブサイト
四川料理ですので、特徴的なしびれる辛さは日本の味とは別物です。
中国語と漢字は同じですが、[má pó dòu fu]という発音になるので、カタカナで書くなら「マーポードウフ」ですね。
今や一般家庭料理なので、外食メニューではあまり見かけません。


油淋鶏 (ユーリンチー)
中国の"油林鸡" (yóu lín jī)は四川が本場で、日本においてはスパイスが抑えられているのは当然といえます。
また、広州の"油林鸡"は辛くない料理です。
いずれもにおいても日本の独自の「油淋鶏」と大きく異なる点は、衣をつけて油で揚げることはありません。



2番目の四川の油淋鶏の写真では、あえて鶏の頭がついたものを選びました。
鶏の頭がついてくることは一般的とまでは言えないのですが、珍しくはありません。
私を含めた日本人からすると、ちょっと引いてしまう光景ではないでしょうか?
でも、冷静になって考えてみると「お頭付きの刺身」は高級感がありますので、感覚的には同じでは?と思います。
回鍋肉 (ホイコーロー)
回鍋肉も、とろみがない以外は見た目的には大きな違いはないかもしれません。
中国の"回锅肉" [huí guō ròu]は四川が本場で、辛さは(以下略)
豆板醤の風味を生かしていますので、日本の甘い味付けとは大きく異なります。

棒々鶏 (バンバンジー)
中国の"棒棒鸡" [bàng bàng jī]は四川が本場ですので、辛さは(以下略)
日本の「棒々鶏」とは見た目も全く違う料理ですね。

青椒肉絲 (チンジャオロース)
肉の感じが日本とは違うくらいで、見た目的にはとても近いと思われます。
中国語では、"青椒肉丝" [qīng jiāo ròu sī]といいます。
油を使っていますが、かなりさっぱりした味なので、日本の中華料理店の味とは大きく異なります。

八宝菜 (はっぽうさい)
日本の「八宝菜」とは異なります。
漢字のとおり、8種類の食材が入っていればすべて"八宝菜" [bā bǎo cài]といっても良い気もするくらい、決まった形式がありません。
また、中国では"八"という数字は縁起のいい数字なので、この名前も好まれます。
中国の"八宝菜"の例です。



杏仁豆腐 (あんにんどうふ)
これはデザートの部類になりますが、中国の"杏仁豆腐" [xìng rén dòu fu]は、江蘇省が発祥です。
本場では、日本の「杏仁豆腐」のようにゼリーやプリンのような固形ではなく、粘り気の強い液体です。
読み方も「シンレンドウフ」という感じで、ずいぶん異なります。

最近は日本の「杏仁豆腐」が逆輸入されて人気があるようで、"日式甜点杏仁豆腐" [rì shì tián diǎn xìng rén dòu fu]、つまり「日本式の甘い(デザートの)杏仁豆腐」として販売されています。
ずいぶんと長くなりましたが、最後は名前も味も比較的近い中華料理です。