「ウェブ」と「ホームページ」の違いは?
すっかり生活の中に定着している「ウェブサイト」や「ウェブページ」という言葉ですが、この「ウェブ」とはどんな意味? 「ホームページ」との違いは?
当たり前のように使っている言葉で、英語が由来なのは何となくでも分かるのですが、これってコンピューターの専門用語?
今回は英語の"web"について解説していきます。
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「ウェブサイト」の「ウェブ」とは?
「ウェブ」という言葉は英語の"web"からのものですが、コンピューターの専門用語だけではありません。
でも、この用法が最も広く普及しているので、Oxford Advanced Learner's Dictionaryにも、はじめにこの用法が掲載されています。
web noun
Oxford Advanced Learner's Dictionary
the Web, the web (also the World Wide Web)
a system for finding information on the internet, in which documents are connected to other documents
「インターネット上で、どの文書が別の文書につながっているかによって、情報を見つけ出すシステム」とあります。
こうやって書くと、余計に分かりにくくなってしまうかもしれませんが、インターネット上には数多くのリンクがあって、ある情報から別の情報にたどっていくことができます。
例えば、検索結果からこの記事にたどり着いた方も多いでしょう。またこの記事から別の記事にもリンクしていますし、または他のサイトにもリンクしています。
普段は意識しないですが、世界中の情報がつながっている仕組みは、それを支えリードしている組織があります。
ウェブの標準化団体 W3C
この仕組みを考案した英国人学者、ティム・バーナーズ=リー氏 (Timothy "Tim" John Berners-Lee)が創設し、現在も率いている「ワールド・ワイド・ウェブ・コンソーシアム」 (World Wide Web Consortium)という標準化を行っている非営利団体です。略称で"W3C"とも呼ばれます。
「ウェブ」は「ワールド・ワイド・ウェブ」の略称
この名前から分かるように普段「ウェブ」と呼んでいるのは「ワールド・ワイド・ウェブ」というシステムの略称になります。
最近は見かけることは少なくなりましたが、ウェブサイト(ホームページ)アドレスの表記で、
www.google.com
のように最初に"www."がついていたのは、この"World Wide Web"の略です。
今でもほとんど場合、"www."をつけることもできますが、最も標準的なので、アドレス全体を短くするためにも必須ではなくなっています。
近年では「(笑)」から"w"や"www"などに変遷して、その形から「草」というネット上のスラングまで生まれていますが、これらは"World Wide Web"とは無関係な日本だけの用法です。
"the Web", "the web"と、大文字も小文字も一般的に用いられ、どちらでも正解ですが、"WWW"と略す場合は大文字で表記します。
Webの語源は?
古代ドイツ語の"wabjam"が起源で、古代英語で"webb"となりました。
これは"woven fabric"(織物)を意味する言葉で、織物などを「織る」といった動詞形の"weave"にも派生しています。
現代の英語では、「織物」という単語は"textile"が一般的に用いられます。
織物は糸が(規則正しく)絡み合って作られているものですので、「ワールド・ワイド・ウェブ」以前にも、さまざまな用法に派生しています。
他の用例については、後ほどご紹介します。
「ウェブサイト」「ウェブページ」「ホームページ」の違いは?
「ウェブサイト」とは?
「サイト」という言葉は英語の"site"から来たもので、「敷地」「場所」という意味があります。
通常、ウェブサイトはいくつかの文書の集まりで、ある会社であればその会社の所有する情報の範囲全体を指します。または「製品のウェブサイト」として、あるまとまった場所を指すことになります。
英語では"website"とひとつの単語で表記されます。
「ウェブページ」とは?
インターネットの標準に則った文書は、ひとつの(コンピューターの)ファイルです。
画像などはそのファイルのリンクとして別のファイルだったり、コンピュータープログラムで動的に生成されている場合もありますが、見かけ上は1枚のページにみえます。
「ウェブページ」は、それぞれのページを指し、英語で"web page"といいます。(間に空白が入ります。)
「ホームページ」とは?
英語では"home page"といいますが、これよりも"top page"という表記の方が多くみられます。
"front page"という呼ばれ方をした時期もありました。
ここから想像がつくように、その「ウェブサイト」の「ウェブページ」の中でも、特に「最初のページ」を指します。
日本語では「ウェブサイト」と「ホームページ」を混同してしまっている例が多いですが、英語では明確なので注意が必要です。
英語の”web”のいろいろな意味
本来は「織物」の意味だった"web"ですが、このような派生があります。
蜘蛛(くも)の巣
頻出度として高いのは、「蜘蛛の巣」です。
"web"だけでも「蜘蛛の巣」ですが、これを明確にするためイギリスでは"spider’s web"と表記し、北アメリカでは"spiderweb"という表記をします。
蜘蛛の作った織物なので、分かりやすいと思います。
繋がり合った模様や形状
複雑につなぎ合わさった模様や形状も"web"と表現されます。
模様に限らず、例えば、さまざまに交差している道路もこれに該当します。
ここから派生して、「複雑な関係」や「しがらみ」といった意味で用いられる場合もあります。
放送網
物理的な繋がりだけでなく、「放送網」や「情報通信ネットワーク」を指す場合もあります。
水かき
アヒルやカエルなどの足指の間にある「水かき」も"web"といいます。
確かに指の間を繋いではいますが、ちょっと意外だったかもしれません。
食物網
"food web"という用法では、生態系の「食物網」を指します。
「食物連鎖」は英語で"food chain"といいますが、複数の食物連鎖の関係性を表す場合には、"chain"(鎖)ではなく"food web"を用います。
今回もお読みくださり、ありがとうございました。
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