中国十大麺とは?
中国の麺料理と聞くと、真っ先にラーメンを想像する方が多いと思います。
もちろん中国のラーメンも日本とはまた違ったおいしさがありますが、中国には実に多くの麺料理があります。
「中国十大麺」 中国語で"中国十大面条" [zhōng guó shí dà miàn tiáo]と呼ばれる有名な麺料理の10選があり、さらに中でも有名な5選は「中国五大麺」 中国語で"中国五大面条" [zhōng guó wǔ dà miàn tiáo]と呼ばれています。
今回は、「中国五大麺」と「中国十大麺」を紹介していきます!
前知識 - 中国語で「麺」と「スープ」はなんという?
中国では「麺」のことを"面条" [miàn tiáo]と呼びます。
料理の名前では、よく"~面"と呼ばれます。
"面"は「麺」の簡体字で、"条"は長いものを指す言葉です。
日本語の「湯」という漢字と同じ、中国語の"汤" [tāng]という漢字は「スープ」を意味します。
このため、"白汤" [bái tāng]という単語で「白色のスープ」という意味になりますので、日本語で「白湯(パイタン)スープ」と呼ぶのは中国語からすると重複となります。
また、標準の中国語では"白"は[bái]という発音になりますので、中国語だと思って「パイタン」と言っても通じません。
中国五大麺・中国十大麺 一覧
中国のウェブサイトには、いろいろなランキング形式で掲載されていますが、土地それぞれの特徴がありますので、このブログでは順不同で掲載していきます。
中国五大麺 | 中国五大面条
- 蘭州牛肉麺 | 兰州牛肉面 [lán zhōu niú ròu miàn]
- 武漢熱干麺 | 武汉热干面 [wǔ hàn rè gān miàn]
- 北京炸醬麺 | 北京炸酱面 [běi jīng zhá jiàng miàn]
- 山西刀削麺 | 山西刀削面 [shān xī dāo xiāo miàn]
- 四川担担麺 | 四川担担面 [sì chuān dàn dàn miàn]
中国十大麺 | 中国十大面条
- 吉林延吉冷麺 | 吉林延吉冷面 [jí lín yán jí lěng miàn]
- 河南烩麺 | 河南烩面 [hé nán huì miàn]
- 杭州片儿川 | 杭州片儿川 [háng zhōu piān er chuān]
- 昆山奥灶麺 | 昆山奥灶面 [kūn shān ào zào miàn]
- 鎮江鍋蓋麺 | 镇江锅盖面 [zhèn jiāng guō gài miàn]
中国五大麺
蘭州牛肉麺 | 兰州牛肉面 [lán zhōu niú ròu miàn]
中国の中部に位置する甘粛省(かんしゅくしょう)の省都、蘭州市(らんしゅうし)の名前を冠した牛肉ラーメンで、地元の人をはじめとした日常食です。
中国語: 甘肃省 [gān sù shěng] 兰州 [lán zhōu]
「ラーメン」は中国語で"拉面" [lā miàn]と書き、引っ張って作る麺を指すもので、麺の製法による分類となり、数多くの麺料理のひとつです。
蘭州牛肉麺の特徴は、中国語で"五大特点" [wǔ dà tè diǎn]と表されます。
一清、二白、三红、四绿、五黄 [yī qīng, èr bái, sān hóng, sì lǜ, wǔ huáng]
1.透明、2.白、3.赤、4.緑、5.黄
と表されます。
この意味は、
- 牛肉のスープの色が澄んでいて、香りがよくあっさりしている
牛肉汤 [niú ròu tāng] - 具となる大根の純白が映える
萝卜 [luó bo] - 真っ赤なラー油がスープに浮かんでいる
辣椒油 [là jiāo yóu] - パクチーと茎にんにくの新鮮な緑が映える
香菜 [xiāng cài] / 蒜苗 [suàn miáo] - 麺は滑らかで、半透明の黄色をしている
となります。
地元では、麺が提供されるとテーブルに置いてある酢を入れて、自分好みの"酸辣" (suān là)と呼ばれる酸味と辛さに仕上げます。
スープまで全部飲み干してしまうのが一般的です。
動画が見づらい場合はこちらのリンクからご覧ください
動画の「弾幕」は「弾」と書かれたスイッチで消すことができます。
武漢熱干麺 | 武汉热干面 [wǔ hàn rè gān miàn]
武漢市(ぶかんし)は、中国の中部に位置する湖北省(こほくしょう)の省都で、人口1100万を超える大都市です。
中国語: 湖北省 [hú běi shěng] 武汉 [wǔ hàn]
とても残念ではありますが、新型コロナウイルスの関連で世界中で一躍有名になってしまったので、「武漢」の名前を聞いたことはない人はいないでしょう。
武漢も長い歴史を持つ地域で、武漢の名前を冠した「武漢熱干麺」は地元民の日常食として愛されている麺料理です。
胡麻ダレを使った辛めの汁なし麺で、朝食や小腹が空いたときにも食べられる手軽さです。
茹でた麺に、胡麻ダレ、ごま油、ラー油などを混ぜ、細ネギ、にんにく、大根、落花生などをのせます。
いろいろな具、調理法や食べ方に広がっています。
中国語の"热干面"は"碱水面" [jiǎn shuǐ miàn]の別名ですが、日本語の「かんすい麺」にあたります。
夏には温度が高くなる武漢では、食料の保存方法はひとつの課題で、清の時代に麺の中に塩を入れて変質を防止した"切面" [qiē miàn]が基になったといわれています。
お店が近くにない場合、超お手軽に作れる「熱干麺風まぜ麺」のレシピも用意しました。
北京炸醬麺 | 北京炸酱面 [běi jīng zhá jiàng miàn]
中国の首都 北京発祥の汁なし面で、甜面醤(てんめんじゃん)をベースにした甘味のある麺料理です。
豚バラ肉・にんにく・ねぎと甜面醤などの調味料でつくった肉みそと、豆もやし、きゅうり、にんじんなどの豊富な野菜をのせて食べます。
外食メニューにもありますが、一般的な家庭の味で、枝豆や大豆をのせたり、豆板醤をいれて甘辛くしたりといろいろです。
北京炸醬麺の生産の歴史としては、清朝末期の記録が残っているとのことで、1900年前後には原型が存在していたようです。
1950年代から1960年代では、食材の変化もあって現在の形になったといわれています。
山西刀削麺 | 山西刀削面 [shān xī dāo xiāo miàn]
中国の北部に位置する山西省は、2000年にも渡るといわれる中国の麺の歴史の中でも有名な地方です。
中国語: 山西省 [shān xī shěng]
俗説として
世界面食在中国,中国面食在山西。
[shì jiè miàn shí zài zhōng guó, zhōng guó miàn shí zài shān xī]
世界の麺食は中国にあり、中国の麺食は山西にあり。
とも言われています。
※ 日本の明星食品の社長が、山西の麺を食べて絶賛した言葉とも伝えられています。
実際に、"刀削面" [dāo xiāo miàn]の他にも、"拉面" [lā miàn]、"刀拨面" [dāo bō miàn]、"荞面猫耳朵" [qiáo miàn māo ěr duǒ]など、さまざまな種類の麺があります。
その中でも、この「刀削麺」(とうしょうめん)は、麺の製法に特徴があり、漢字の示すとおり生地を削って作ります。
専用の湾曲した道具で、一本一本削りながら直接鍋に入れていきます。
(最近は機械化も進んで、自動で削っていく機械もあります。)
動画が見づらい場合はこちらのリンクからご覧ください
動画の「弾幕」は「弾」と書かれたスイッチで消すことができます。
スープや具はさまざまで、日本でも「麻辣(マーラー)刀削麺」などいろいろな味をメニューで見かけますが、本来は中国北部の味なので、こってり感とさっぱり感をあわせもった香り高いスープが主体だったと考えられます。
四川担担麺 | 四川担担面 [sì chuān dàn dàn miàn]
日本でも有名な「担々麺(タンタンメン)」ですね。
本場の味は日本人にとって激辛をはるかに超えるので、めったに本場の味を食べることはできないと思いますが、日本でも見かけるように、汁なしと汁ありの両方があります。
中国 四川省の成都(せいと)市と自貢(じこう)市が発祥の麺料理で、1841年に自貢市にて作られたのが初めと言われています。
中国語: 四川省 [sì chuān shěng] 成都 [chéng dū] 自贡市 [zì gòng]
細い面が特徴で、唐辛子と花椒のラー油の「紅辣椒油」、ねり胡麻主体の「芝麻醬」、ねぎのみじん切りなどを添えます。
中国語: 红辣椒油 [hóng là jiāo yóu] 芝麻酱 [zhīma jiàng] 葱花 [cōng huā]
日本では、ひき肉やチンゲン菜は必ずといっていいほど具で入っていますが、本場では一般的ではあるものの、必須の具という程ではありません。
この他に、落花生やにんにくの芽などを入れる場合があります。
ここまでは順不同でしたが、"中国五大面条"の中にも入る代表的な麺料理でした。
それでは、続けて見ていきましょう!