中国で一般的な激烈酒 - 白酒
日本で有名な中国の酒といえば、「紹興酒(しょうこうしゅ)」ではないでしょうか。
ビールも含めるなら、「青島(チンタオ)ビール」も有名だと思います。
「紹興酒(しょうこうしゅ)」は中国語で
绍兴酒
[shào xīng jiǔ]
といい、"黄酒" [huáng jiǔ]に分類されます。
ちなみに、「青島(チンタオ)ビール」は製品名で、
青岛啤酒
[qīng dǎo pí jiǔ]
といい、無理してカタカナで書くなら[チンダオピイジウ]になります。
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かなり危険! 燃える”白酒”
中国で現地の人と酒を酌み交わす時には、"黄酒"よりも"白酒" [bái jiǔ]を提供されることが圧倒的に多く、アルコール度数を見ても危険な領域です。
「紹興酒」を含む"黄酒"のアルコール度数は一般的に14%~20%に対して、"白酒"は28%~68%と幅は広いものの、45%前後が一般的です。
ポーランドのウォッカ「スピリタス "spirytus"」は96%という世界最高度数の酒(?)もありますが…
"白酒"に火をつけてみると、実際に燃えます。
小皿に入れて1~2分程度は燃え続けるので、もはや燃料かもしれません…
この"白酒"を常温のまま、小さいショットグラスに入れて「乾杯」となるのですが、中国語で「乾杯」は日本語と同じように
干杯
[gān bēi]
[ガンベイ]
というものの、本当に飲み干すのが普通なので、最初は喉が焼けるかと思いました。
グラスは小さいですが、飲み会のみんなが熱烈歓迎してくれるので、20名いれば20杯飲むことになります。
気持ちは嬉しいですが、正直、立っているのも辛い状況です…
その状況を見た中国人の友人が「飲めないなら残したらいいのに」と一言。
「それ先に言ってよ!」
“白酒”と”黄酒”の違い
"白酒"と"黄酒"の違いは、アルコール度数というよりも酒の分類として異なるものです。
漢字からも想像がつきますが、"白酒"は無色透明の蒸留酒で、"黄酒"は琥珀(こはく)色をした醸造酒です。
“白酒”とは?
中国では、"白酒"とは「果実酒と米酒以外の中国酒類の総称」とされており、穀物酒に分類されます。
使用する穀物は、地域や銘柄にもよりますが「ヒエ」(中国語で"高粱" [gāo liang])が主原料のものが多いようです。
最近は、複数の穀物を配合することが多いようで、見つけた資料ではこのような配合でした。
- 高粱 [gāo liang] (ヒエ): 36%
- 大米 [dà mǐ] (米): 22%
- 糯米 [nuò mǐ] (もち米): 18%
- 小麦 [xiǎo mài] (小麦): 16%
- 玉米 [yù mǐ] (トウモロコシ): 8%
また、"白酒"は、
烧酒
[shāo jiǔ]
老白干
[lǎo bái gān]
烧刀子
[shāo dāo zi]
とも呼ばれます。
“黄酒”とは?
一方、"黄酒"の主原料は、中国南部では「もち米」(中国語で"糯米" [nuò mǐ])が使用され、北部では「キビ」(中国語で"黍米" [shǔ mǐ])や「アワ」(中国語で"粟" [sù])および「もち米」が使用されます。
製法は醸造酒に分類されますので、本来は主原料の米と加えられた小麦が寝かされている間に変化して琥珀色になるのですが、近代では工業化による大量生産が一般的になり、これによる衛生状況の向上から伝統的な製法で得られた琥珀色にはならなくなったことから、カラメル色素を加えるのが一般的です。
このような着色は、中国の"黄酒"に限らず、大量生産されるラム酒など、他の醸造酒においても同様です。
「紹興酒」とは?
"绍兴酒" [shào xīng jiǔ]とは、浙江省紹興市の特産品で、地酒の一種になります。
史料によると、2500年以上の歴史があるといわれています。
甘味と口当たりの良さ、豊潤さが特徴で、日本でも受け入れられやすいのがよくわかります。
「紹興酒」には、次の「六味」の特徴があるとされています。
六味 [liù wèi]
- 甜味 [tián wèi] = 甘味
- 酸味 [suān wèi] = 酸味
- 苦味 [kǔ wèi] = にがみ
- 辛味 [xīn wèi] = 辛み
- 鲜味 [xiān wèi] = 旨み
- 涩味 [sè wèi] = 渋み
この紹興酒においても、伝統的な製法を守っている場合以外は、カラメル色素を加えていますので、紹興酒を語る場合の参考として追記しておきます。
中には「白酒」を「紹興酒」としている記述もありますが違います…
こちらは本物の「紹興酒」です。
白酒を飲めないことを伝える中国語
よほどの酒豪でない限り、白酒を連続して一気飲みなどできません。
慣れてくると、ちびちびと飲みながら語り合う良さも出てくるのですが、大量に飲むことになる前には飲めないことを伝える方が安全です。
そんな時には、このように言うことができます。
我不会喝白酒
[wǒ bù huì hē bái jiǔ]
[ウォ ブウフイ ハァ バイジウ]
私は白酒は飲めません。
まったくお酒を飲まない方は、この例文の"白"を除けば大丈夫です。
中国語の"会"は勉強や練習などをすることによって「できる」を意味することが多いですが、お酒のような嗜好品に対しても使います。
もう少し説明するなら、
因为白酒太烈了,
所以我不会喝白酒。
[yīn wèi bái jiǔ tài liè le]
[インウェイ バイジウ タイリエラ]
[suǒ yǐ wǒ bù huì hē bái jiǔ]
[スオイー ウォ ブウフイ ハァ バイジウ]
白酒は強すぎるので、
白酒は飲めません。
ということもできます。
お酒の「強さ」は、上記の"烈" [liè]以外にも、"辣" [là] [ラー](辛い)という表現でも大丈夫です。
また、「白酒は強すぎるけどビールなら」という場合は、次のように言うことができます。
啤酒比较好多了
[pí jiǔ bǐ jiào hǎo duō le]
[ピイジウ ビイジァオ ハオ ドゥオラ]
ビールの方がずっといいです。
さて、筆者は一度、立てなくなるくらいに白酒を飲んだので、別日の会議後の飲み会で、主催した中国人の友人に上記のように耳打ちしてビールを用意してもらおうとしました。そうすると…
「はははは、中国語上手いなあ!俺たちと同じじゃん、さあ白酒飲んで!」
話が違う…
結局、2度目の泥酔に…
上記の中国語は正しいのですが、通じても、場合によってそのとおりになる保証まではできませんので、あしからず…
その後は、"干杯!"といわれても、マイペースで対処するようにして、失敗を繰り返さないようにしています。
今回もお読みくださり、ありがとうございました。
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