"的","得","地"の使い方・違い
中国語の学習で"的","得","地"の使い方・違いに悩む方が多いようで、自身もそうでした。
中国語に限らず語学は例外も多いので、専門的な詳しい説明を独学で見るほど分からなくなってしまうかもしれません。
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1枚の図で的・得・地の違いを簡単に理解
まずはこの1枚の図で、ほとんどの説明が完結します。
1文で表すなら、
多くの場合は"的"ですが、動作(動詞)の様子を表す場合には"得"か"地"のいずれかになって、動詞が先に来る場合は"得"を使う。
たったこれだけ!?
とりあえず これだけ押さえていれば、自分が使う時に的・得・地を間違えて使うことはないと思いますし、理解してもらえます。
中には、ネイティブでもつい間違ってしまうことはあるので、間違いは恐れずに!
ちなみにこの用法の場合、"的","得","地"の発音はすべてアクセントのない軽声(けいせい)で[de]になります。
ただ、これだけだと少し違和感のある文章になってしまったり、表現しきれない場合があるのは、日本語でも同じです。
よりすっきりと理解できるように、いくつかの例や説明と気にかけたいところを見ていきましょう。
的: いちばん気にする必要のない 日本語の「の」に近い表現
"的"を使う時は、とにかく名詞を指して様子や追加の説明を前につける場合です。
語順も日本語と同じように考えることができるので、いちばん理解しやすいと思います。
名詞の前は、名詞・形容詞・動詞のいずれも使えます。
前が形容詞や動詞の場合は、日本語に訳すと「の」にはなりません。
日本語初級者の中国人が、思わず間違った使い方で「の」を多用してしまう理由は、ここにあります。日本語も難しいです…
的: 最も頻度が高い”的”を使う例
名詞+名詞の例
- 我的书 [wǒ de shū]
私の本 - 她的朋友 [tā de péng yǒu]
彼女の友達
形容詞+名詞の例
- 漂亮的风景 [piào liang de fēng jǐng]
きれいな風景 - 很高的山 [hěn gāo de shān]
高い山
動詞+名詞の例
- 吃的东西 [chī de dōng xī]
食べるもの - 我听的歌曲 [wǒ tīng de gē qǔ]
私が聞いた曲
こんな感じで続けることができますが、少し気をつけたい点があります。
的: 日本語と同じように気をつける点
「の」の連続は通常2回までが望ましい
日本語でも「の」を3回繰り返して、くどくなっている文章を見かける時がありますが、中国語でも同じことが言えます。
間違いの例:
× 昨日の君の本の内容
× 昨天的你的书的内容 [zuó tiān de nǐ de shū de nèi róng]
正しい例:
○ 昨日の君の本にある内容
○ 昨天你的书的内容 [zuó tiān nǐ de shū de nèi róng]
なぜ"昨天"の後の"的"を省略したかというと、この中で重要な点は「君の本の内容」であるためです。
日本語より変化が少ないので、ある意味わかりやすいですね。
的: 日本語とは違う気をつける点
密接につながっている関係には、"的"は入り込まない
"的"を入れることが間違いではないですが、"的"は省略されることが多いです。
私の体
我身体 [wǒ shēn tǐ]
私の両親
我父母 [wǒ fù mǔ]
これ以外にも、所属を表す場合は"的"を省くことができます。
彼の家
他家 [tā jiā]
私たちの会社
我们公司 [wǒ men gōng sī]
ただ、
私の手
我的手 [wǒ de shǒu]
のように、自分自身の手であっても、"手"のように一文字の単語で短い場合は、"的"を入れて文のリズムを整える傾向があります。
"我手"でも間違いではありません。
余談になりますが、日本語では自身の勤務先を「私の会社」と表現することがありますが、中国語では自身が社長やオーナーでない限り"我的公司"のようには言えません。
得: 動作の様子や程度を表す – 動詞が先(日本語の語順は意識しない)
基本的には最初に動詞があって、その動詞がどんな様子かを表すように続けます。
日本語に訳すと、文脈によっては語順が異なるかもしれませんので、この順番で理解します。
専門書では、最初に「動詞または形容詞」で「程度補語」をつけるという説明があります。
これはもちろん正しいのですが、主な理由は次のとおりです。
- 中国語には、ひとつの単語で動詞にも形容詞にもなる場合があり、使い方でどちらかが決まる。※ 2文字の単語に多い
- 「最初に動詞」とは違う、例外が存在する。
得: 最も多い「最初が動詞」の例
訳し方によって、日本語とは語順が異なる場合があります。
玩得高兴 [wán de gāo xìng]
楽しく遊ぶ
时候过得真快 [shí hòu guò de zhēn kuài]
時間が過ぎるのが早い
他吃得很多 [tā chī de hěn duō]
彼はたくさん食べる
她唱得很好 [tā chàng de hěn hǎo]
彼女は歌うのが上手だ
動詞の様子(程度)が否定的な場合でも、語順は変わりません。
これは、下の例のように"不好"自体が様子(程度)を表すためです。
她唱得不好 [tā chàng de bù hǎo]
彼女は歌うのが下手だ
動詞の様子(程度)が質問形であっても、語順は変わりません。
她唱得怎么样? [tā chàng de zěn me yàng]
彼女が歌うのは(歌唱力)はどうですか?
得: 気をつける点
"得"の使い方で「動詞がどんな様子かを表すように続けます」と書いたのには、実は少し深い意味があります。
先ほどの例のように、
他吃得很多
彼はたくさん食べる
という文章は正しいのですが、
「彼は肉をたくさん食べる」という場合、
× 他吃肉得很多
と書くと間違いになります。
"吃肉"という時点で、「肉を食べる」という意味で完結してしまいますので、"得"を動詞に続けることができません。
この場合、正しい表現は
○ 他吃肉吃得很多
彼は肉をたくさん食べる
のように、動詞を重複させて、この語順を成り立たせます。
得: 形容詞に”得”が続く例
最初が形容詞(に限定される単語)の場合もありますが、頻度は少なめです。
她红得发紫 [tā hóng de fā zǐ]
彼女は大人気だ
※ この色分けは少し無理があります。
"红得发紫"は"成语" [chéng yǔ]と呼ばれる四字熟語です。
"红"だけで「人気がある」を意味しますが、位の高い"紫"に上がる、という感じです。
急得发疯 [jí de fā fēng]
気が狂うほど急ぐ
急得汗流浃背 [jí de hàn liú jiā bèi]
あせって汗だくになる
得: 形容詞+”得”+動詞になる例
これは本当に例外的ではありますが、「動詞+"得"+形容詞」とは逆になる場合もあります。
ただ、一般的に使用される表現です。
价格高得离谱 [jià gé gāo de lí pǔ]
価格が並外れて高い
"得"を使う例では、場合によって"的"でもよい場合があります。
これ以上踏み込むと難解過ぎるので省略しますが、誰かに「ここは"的"じゃなくて"得"だよ!」と指摘したくなっても、ちゃんと調べてからにした方が無難です。
地: どんな様子の動作かを表す – 説明される動詞が後
"得"の時と同じような動作の様子を付け加えるものですが、"地"の場合は説明される動詞が後に続きます。
日本語に訳す場合は、こちらの方が日本語の語順に近いですが、自然な日本語にする場合は"得"の訳と同じになることが多いと思います。
地: 最も多い「形容詞+”地”+動詞」の例
高兴地玩 [gāo xìng de wán]
楽しく遊ぶ
认真地看 [rèn zhēn de kàn]
认认真真地看 [rèn rèn zhēn zhēn de kàn]
注意深く見る
兴奋地哭 [xīng fèn de kū]
興奮のあまり泣く
地: 「動詞+”地”+動詞」の例
この組み合わせは、頻度としては低いです。
生气地说 [shēng qì de shuō]
怒って話す
着急地说 [zhāo jí de shuō]
焦って話す
"生气"や"着急"は、"很生气"や"很着急"のように形容詞としても使われますが、これらの用法では動詞となります。
違う意味の文章で出てくる 的 得 地
最後に、言うまでもないことかもしれませんが、"的","得","地"とも今回の主題とは違う部分でも使われる漢字です。
別の用法で使われるパターンを理解することで、今回の説明に当てはまる"的","得","地"の使い方かどうかが、混乱を避けることになります。
例をあげるとキリがありませんので、ほんの少しだけ…
“的”以外に変わることのない例:
是的 [shì de]
そうです (語尾としての"的")
好的 [hǎo de]
いいですよ (語尾としての"的")
你是去年日本的吗? [nǐ shì qù nián rì běn de ma]
あなたは去年日本に行きましたか? (過去を強調するための"是~的")
“得”以外に変わることのない例:
我得去 [wǒ děi qù]
私は行かなければならない(助動詞としての用法)
※ "得"の発音の違いに注意!("多音字" [duō yīn zì])
これ以外に、単語の一部として使われる場合もありますので、文節に気をつけてみてください。
例:
目的地 [mù dì dì]
※ "的","地"の発音の違いに注意!("多音字" [duō yīn zì])
今回の記事を作成するにあたり、中国語・二胡教室 名古屋中国語文化中心さんのオリジナルテキストを参考にし、了承を得て一部引用させていただいています。
※ 記事の内容は独自に作成しているもので、必ずしも中国語教室の見解と一致しているとは限りません。
今回もお読みくださり、ありがとうございました。
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