「承知しました」「理解しました」は"I understand"
日本人は英語を話す時、日本語の感覚で言葉選びをしてしまうことがあります。
その例のひとつで、逆の意味になってしまう特に危険な例が
仕事相手などが言ったことに対して「承知しました」「理解しました」というつもりで
Understood (≠ 「承知しました」「理解しました」)
と返してしまうことです。
正しくは
「承知しました」「理解しました」 = I understand.
です。
「『承知しました』『理解しました』だから過去形でしょ?」とか「何が間違い?」と思った方、知ってはいるけどつい口から出てしまうという方に向けて、文法的な説明を極力抑えて、分かりやすく解説していきます。
この記事を読み進めていただくことで、きっとすっきりと理解して"I understand."と言えるはずです。
また、このような状況での応答例もいくつかご紹介します。
気になる内容にすぐに移動
なぜ”Understood”が危険なのか?
はじめに、"Understood"という応答が危険な理由を端的にお伝えします。
この言葉は「承知しました」「理解しました」ではなく、むしろ
既に理解している
言われなくても、分かってることだ
今さらあえて言う必要のない話だ
と捉えられ、相手に失礼と受け取られる可能性が高い表現です。
このような表現を使うのは、軍隊か特に厳しい上下関係で応答する時くらいで、一般的な会話では違和感を生じさせるものです。
なぜこのような意味になるのかは、後ほど解説していきますが、今のところは「この形は過去形ではなく、受け身のひとつ」として捉えられるため適切ではない、とだけお話しておきます。
先に、正しい使い方とその理由に、お話を進めていきます。
なぜ”I understand.”というのが正しい?
なぜ現在形なのか?
簡単に結論から言うと、「理解した状態である」という現在の状態を表すからです。
日本人の感覚では「理解しました。」「承知しました。」のように過去形が頭にあるため、英語でも"understood"という過去形が適切に思えてしまうかもしれません。
ここで思い出していただきたいのは、中学の基礎英語"I see."という現在形で「わかった」を意味することです。
"see"は「見る」ですが、応答として「見えた(=分かった)状態」として自然なのです。
なぜ過去形の”I understood.”を使えないのか?
"I saw."という過去形は応答として習った覚えはないと思うのですが、"I understood."も同じように正しい応答ではない理由を説明します。
I understood.
お気づきのように、これは過去形です。
変則的な過去形の表記に、「何このスペル~」と思いながら暗記された方も多いかもしれません。
この過去形は
- 過去のどこかで理解したこと
- 相手が今してくれた話への応答ではない
という意味になります。
過去のことなので、"now"のような「今」を表す時制も使えません。
もし"I now understood."としたら、「今、もう過去に理解した」という、応答として意味不明な文になってしまいます。
これは"now"と"was"が同時に使われるような感じです。
"It was now finished."(それは今、もう終わりでした。)という文は、流れにおいて適切ではありません。
「今、(やっと)理解しました」という感じなら
I now understand.
が正しい表現です。
“Understood”が危険な表現となる理由
文法論 - 「動作受動」と「状態受動」
冒頭で「この形は過去形ではなく、受け身のひとつ」とご紹介しました。
少し文法的な説明をすると、「受け身」には次の2つの種類があります。
- 動作受動
- 状態受動
一般的な動作受動の形は
The door was closed by John.
ジョンがドアを閉めた
で、ここで焦点になっているのは「人によって起こされた出来事」で「閉じられた」という行為です。
一方、状態受動は
The door is closed.
ドアは閉まっている
という、「閉まっているという状態」が焦点です。
まとめるとこんな感じです。
| 観点 | 動作受動 | 状態受動 |
|---|---|---|
| 意味 | 〜される(動作) | 〜された状態である(結果) |
| 焦点 | 行為の瞬間 | 行為の結果としての状態 |
| 行為者(by〜) | 明示できる | 通常明示できない |
いくつかの「状態受動」は、「形容詞」として定着しています。
形容詞化して定着している「状態受動」の例をあげてみます。
- tired = 疲れている
- broken = 壊れている
- closed = 閉まっている
“Understood”は状態受動として認識
"Understood"という応答は
It is understood.の省略形
として受け取られ、状態受動とみなされます。
つまり
- 理解するという行為はもう終わっている
- 既に「理解されている状態」にある
- 理解させたのは「誰か」というのは焦点ではない
ということになり
- 既に理解している(状態にある)
- 言われなくても、分かってることだ
- 今さらあえて言う必要のない話だ
と捉えられるのです。
似たような構造の文に、"It is finished."があります。
It is finished. = Finished.
- 「終える」という行為はもう終わっている
- 今は既に終わっている(状態にある)
と捉えられる場合があります。
ただ、"Finished."は、慣用的に"I finished."の代わりとしても使える特殊な例です。
"Understood"に話を戻すと、
「誰が、いつ、理解させたか」は問題ではなく、「既に理解されている状態」を示します。
「今、あなたの説明で理解しました」ではなく「その件はもう理解済みです」という、少し距離のある・冷たい感じが出やすくなります。
あえて"It"を置き換えるなら
What you are saying is understood.
(直訳)あなたの言っていることは、既に理解済みの状態です。
という印象なのです。
言い換えの表現
「理解しました」「承知しました」の言い換え表現
「理解しました」「承知しました」を最も的確に表す言葉は"I understand."です。
ただ、実際の仕事上の会話では、相手が顧客であってもここまで硬い表現をする必要がないのが一般的です。
このような表現が、よく使われます。
I got it. (わかった。/わかりました。)
I see. (なるほど。/わかった。)
これ以外に、場面によってこのような応答も一般的です。
Noted. (覚えておきます。/メモ(記録)しておきました。)
It is now clear.(明確になりました。)
I agree. (同意します。/おっしゃる通りです。)
It makes sense.(理にかなっています。)
「既に理解しています」の言い換え表現
"Understood"はトゲのある表現ですが、既に理解していることを相手に伝える言い換えには、このような表現があります。
I am aware of it.(その件には気づいています。/把握しています。)
I am familiar with it.(その件には精通しています。/熟知しています。)
I understand the situation.(状況は理解しています)
I see your point.(おっしゃる点は理解しています。)
いかがでしたか?
"Understood"が危険な理由が明確になって、意識的に「"I understand"を使える」と思っていただけたことを願っています。
また、言い換え表現についても、ぜひ活用してみてください。






今回もお読みくださり、ありがとうございました。
役に立った・気に入ったらSNSやブログで共有していただけると嬉しいです!







