米国式発音以外は間違いとする日本の英語教育の大罪
英語には、日本語にはない発音がいくつかあります。
そのコツさえつかめれば、英語は確実に伝わります。(その部分は簡単に後ほどご紹介します。)
その上で、よりネイティブに近い発音になりたいのであれば、どの国の英語が対象か、ということをしっかりと見極めることが重要です。
それなのに、日本の英語教育では「米国式発音こそが正義」と言わんばかりに押し付け、受ける側も妄信していることも珍しくありません。
米国式英語がダメと言う気はまったくないですが、世界中のどこでも、もれなく好感を得られる発音でもないことも、知っておくべきだと思います。
さて今回は、日本の英語教育界でありがちな、この4つの単語を例に斬っていきます。(炎上は勘弁ですが…)
- Tomato (トマト)
- Potato (ポテト)
- Banana (バナナ)
- Water (ウォーター)
気になる内容にすぐに移動
米国式英語の発音の特徴
日本人が学校や英語教室で習う「ネイティブっぽい発音」のほとんどは、実は米国式英語発音のクセそのものです。
米国式英語発音のクセには、このような特徴があります。
- 母音をねっとり潰して発音する(二重母音)
- 息の半分を鼻の方に送り込んで発音する(鼻音化)
- "t"の音をラ行や"d"の音に変える(弾音化)
ご存じのとおり、米国だけが英語ネイティブではありません。
この差は英国式英語(本家!)と比較すると明らかです。
それでは、小中学校や幼児英語教育で取り上げられる4つの単語を、音声とあわせて解説していきます。
米国式発音の特徴が出る身近な単語
トマト Tomato
「トマト」の英語発音で「正しい(米国的)」とされる発音をカタカナで表現すると
トメャェイトォウ
が近いでしょう。
一方、英国式の発音では
トマァートウ
とかなり純粋に「マ」を伸ばすので、日本人にとっても発音しやすい「ネイティブ発音」です。
これは発音記号を見ても、はっきりとわかります。
- 米国式発音: /təˈmeɪtəʊ/
- 英国式発音: /təˈmɑːtəʊ/
※ 発音記号はOxford Advanced Learner's Dictionaryからの引用
この音声を再生すると、"Tomato"を米国式と英国式で2回ずつ聞けます。
英国人の前で「トメャェイトォウ」と発音すると、(正しいかと聞くと)確実に「トマァートウ」に修正されます。
この「トマト」の発音だけで、日本にはびこる「米国式発音ができればネイティブっぽい」という神話が崩れるほどの、「目から鱗」だったかもしれません。
ポテト Potato
「ポテト」の英語発音で「正しい(米国的)」とされる発音をカタカナで表現すると
ポテェイロウ
が近いでしょう。
「テェイ」に独特なアクセントをつけ、Tの音がラ行っぽくなる発音は、米国式の発音です。
一方、英国式の発音では
ポテートゥ
とかなり純粋に「テ」を伸ばして「ト」の発音も崩れません。
これも、日本人にとっても発音しやすい「ネイティブ発音」です。
発音記号では、このような詳細は読み取れませんが、実際に音声を聞くと違いがはっきり分かります。
- 米国式発音: /pəˈteɪtəʊ/
- 英国式発音: /pəˈteɪtəʊ/
※ 発音記号はOxford Advanced Learner's Dictionaryからの引用
この音声を再生すると、"Potato"を米国式と英国式で2回ずつ聞けます。
バナナ Banana
「バナナ」の英語発音で「正しい(米国的)」とされる発音をカタカナで表現すると
バニャアナァ
といった感じでしょう。
米国式発音の「二重母音」と「鼻音化」がかなり顕著に出てきます。
一方、英国式の発音では
バナァナァ
と、これも日本人にとっては分かりやすい発音です。
この違いは、発音記号からも読み取れます。
- 米国式発音: /bəˈnænə/
- 英国式発音: /bəˈnɑːnə/
※ 発音記号はOxford Advanced Learner's Dictionaryからの引用
日本の英語教室で"banana"を米国式の発音で話すと、きっと褒められるでしょう。
でも、鼻にかけるのは米国式の発音の時だけで、それ以外はおとなしくしておいた方がよいと思います。
この音声を再生すると、"Banana"を米国式と英国式で2回ずつ聞けます。
ウォーター Water
「ウォーター」の英語発音で「正しい(米国的)」とされる発音をカタカナで表現すると
ウヮァラァ
が近いと思います。
ここにも、「二重母音」と「弾音化」といった「米国式英語のクセ」が入り込んできます。
一方、英国式の発音では
ウォォトゥァ
と、これも日本人にとっては分かりやすく、馴染みやすい発音です。
発音記号だけでは読み取れないこの違いも、実際に音声を聞けばはっきりと分かります。
- 米国式発音: /ˈwɔːtər/
- 英国式発音: /ˈwɔːtə(r)/
※ 発音記号はOxford Advanced Learner's Dictionaryからの引用
この音声を再生すると、"Water"を米国式と英国式で2回ずつ聞けます。
こうしてみると、日本でもてはやされている米国式発音よりも、英国式の方が馴染みやすい気がするのではないかと思います。
繰り返しになりますが、英国は英語が母国語で、本家といえるネイティブです。
英国は紳士・淑女の国として知られていますが、米国式発音を嫌う層も一定数存在します。
単に好き嫌いの問題だけでなく、英国人の英語教師であれば特に、英国の英語に誇りを持って教えます。
もっと言うと、"British English"という表現も避け、"English"と"American"と区別する人たちもいます。
英国人が米国式英語をマネするとき、わざと鼻をつまんだような声で喋ったりしますが、あれがまさに「鼻音化」を小馬鹿にしている定番のジョークです。(筆者はこれが褒められることとは思いませんが…)
英国では、口の奥を縦に広く開けて、あまり鼻に響かせずに明確に発音する傾向があります。
また、英国と米国だけではなく、オーストラリアやニュージーランドといった英語が母国語の国々、シンガポールやマレーシア、インド、南アフリカといった英語が公用語の国々で、それぞれの発音や表現の特徴があります。
これが「米国式だけが正解ではありません」という理由です。
英語で会話をする時に、日本人であれば過度にネイティブに寄せようとする必要はないのです。
ここまで読み進めてくださった読者に向けて、「これだけ押さえておけば大丈夫」という「英語が確実に通じる」 7つのコツをご紹介します。
日本人の英語が確実に通じる 7つのコツ
英語の発音は、この7つのコツさえつかめれば、確実に伝わります。
ここまでの米英比較とは違い、どれも英語ならではの子音を明確にするものです。
この違いは日本語の耳ではあまり意識が向かず、気づきづらいものかもしれませんが、とても重要な発音のコツです。
- "r"と"l"の区別
舌を喉の奥に巻き込む"r"と日本語のラ行に近い"l" - "b"と"v"の区別
日本語のバ行に近く唇で意識的に破裂音を作る"b"と上の歯で下唇を軽く噛む"v" - "h"と"f"の区別
日本語のハ行に近い"h"と上の歯で下唇を軽く噛む"f" - "s"と"th"の区別
日本語のサ行に近い"s"と上の歯と下の歯の間に意識的に舌を挟み込む"th" - ンの音に近い"m"と"n"
口をしっかり閉じる"m"と口を開けたままの"n" - "d"と"t"の音
速く短く息を吐き出すことを意識して、そこに軽く「ドゥッ」("d")や「トゥッ」("t")の音を混ぜる - "dr", "tr", "br"の音
上記の"d", "t", "b"の直後に、"r"を意識した「リャ」「リュ」「リョ」のように短く続ける
いかがだったでしょうか?
米国式の発音に特別な思い入れがない限り、いかに通じる英語にするか、そしていろいろな国の人たちと英語で会話を積極的にしていく方が、国際人としての近道ではないかと思います。
「英会話教室で褒められることが目的ではない」のではないでしょうか?
今の発音に自信がなくとも、必ず通じる発音のコツを押さえて、めいっぱい自己表現を楽しめるようになることを、心から願っています!






今回もお読みくださり、ありがとうございました。
役に立った・気に入ったらSNSやブログで共有していただけると嬉しいです!





