日本語の「ソース」の意味は「ウスターソース」か「出所」か!?
日本語で「ソース」と聞くと、どちらを思い浮かべるでしょうか?
文脈であれば推測はしやすいのですが、日本語だと文字も発音も同じです。
さて、「ソース」は英語由来の外来語ですが、元の英語としては…
- sauce /sɔːs/ → 料理に使う食品としてのソース
- source /sɔːs/ → 出所などの元になる根拠など
と綴りは違うものの、発音は基本的に同じです。
※ "source"の方は、女性には /sɔːrs/ という発音の違いもみられます。
このため、英語での会話でも内容から判別することになりますね。
さて、ここから特に"sauce"について、もう少し詳しく見ていきましょう。
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「ソース」といえば「ウスターソース」?
英語の食品としての「ソース」(= sauce)とは?
食品としての「ソース」と聞いて、黒くてさらさらした「ウスターソース」を思い浮かべる方もいれば、他の好きなソースを思い浮かべる方もいるでしょう。
ただ、地域にもよりますが、「ソース」といえば「ウスターソース」の代名詞と言っても過言ではない存在といえます。
実際に英語でも"sauce"は「食物に味を加えるために、食物とあわせて食べる濃厚な液体」と定義されています。
英語の辞書でも、この説明に併せていくつかの例が紹介されています。 (和訳は筆者が追記)
sauce noun
[countable, uncountable] a thick liquid that is eaten with food to add taste to it
- tomato/cranberry/chilli sauce
(トマト/クランベリー/チリ ソース)- chicken in a white sauce
(ホワイトソースに漬けた鶏肉)- ice cream with a hot fudge sauce
(ホットファッジソース*を添えたアイスクリーム)- pasta sauce (= sauce that is served with pasta)
(パスタソース (= パスタに添えて提供されるソース))- A honey-mustard dipping sauce helped add flavour to the crab cakes.
(ハニーマスタードのディップソースは、クラブケーキ(蟹身ハンバーグ)に風味を加えます。)- coconut tart served with hot chocolate sauce
(ホットチョコレートソースを添えて提供されるココナッツタルト)* 本来の"fudge"は、英国発祥のキャラメル菓子ですが、ファッジソースは本来のファッジとは無関係なチョコレートシロップです。
Oxford Advanced Learner's Dictionary
でも、おなじみの「ウスターソース」は この例に掲載されていません。
「ウスターソース」の「ウスター」とは?
「ウスターソース」は英語で"Worcester sauce"と書き、"Worcestershire sauce"(ウスターシャーソース)が本来の名前です。
Oxford Advanced Learner's Dictionaryには、"Worcestershire sauce"の項として掲載されていて、"Worcester sauce"の記載もあります。
Worcestershire sauce noun
/ˌwʊstəʃə ˈsɔːs/
/ˈwʊstərʃɪr sɔːs/
(also Worcester sauce /ˌwʊstə ˈsɔːs/ /ˈwʊstər sɔːs/)[uncountable] a dark, thin sauce made of vinegar, sugar and spices
Oxford Advanced Learner's Dictionary
"Worcestershire"(ウスターシャー)は英国の中西部にある地名で、1837年に"Lea & Perrins"というブランドがはじめて"Worcestershire"という名前を使ったソースを商業的に展開したとされています。
この当時の作り方は明確ではないようで、この地域ではその以前からさまざまなソースが作られていたことは知られています。
英国料理の味には賛否両論あるようですが、ソースの種類はとにかく豊富です。(ちなみに筆者は、英国料理にも美味しいものは多いと思っています。)
現在、英国の"Worcestershire sauce"は1種類ではなく、いくつかの製品がありますが、日本の「ウスターソース」とは味は違うものと考えた方がよいでしょう。
筆者もひとつを試してみたところ、"anchovy"(アンチョビ = イワシ)の風味を感じました。
英国人の同僚に、日本の「ウスターソース」を試してもらったところ、「これがウスターソース?」と不思議そうにしていました。
もしかしたら日本の「ウスターソース」に近いものがある(または あった)のかもしれませんが、日本風に変わったと考えても不自然ではありません。
日本へは、明治時代に米国から入ってきたといわれています。
「ソース」といえば「ウスターソース」の代名詞となるほど定着したのはこの歴史の影響が大きいと考えられます。
“source”の意味は?
一方、"source"は「出所」という意味を持った英単語です。
「この情報のソースは?」といったカタカナ英語をよく聞きますが、「情報源」といった意味になります。
英語の辞書を見てみましょう。 (和訳は筆者が追記)
source noun
Oxford Advanced Learner's Dictionary
- a place, person or thing that you get something from
何かを得る場所、人または物- [usually plural] a person, book or document that provides information, especially for study, a piece of written work or news
[通常複数形] 特に研究、執筆作品、またはニュースのための情報を提供する人、本、または文書- source (of something) a person or thing that causes or provides something
"source (of something)"の用法で、何かを引き起こしたり提供したりする人または物
となってます。
IT関連では、アプリなどを作成するためのプログラミングの時に、書いたプログラムのことを「ソース」と呼びます。
英語の"source code"が由来で、それが短縮された結果です。
(IT用語にはカタカナ語が多すぎて、日本語で書き表せないもどかしさがあります…)
身近な外来語の「ソース」ですが、英語で調べてみて新しい発見があったら嬉しいです。
今回もお読みくださり、ありがとうございました。
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