「ドライブレコーダー」は和製英語
主に運転中に車の前方や後方などの様子を撮影して記録する「ドライブレコーダー」は、その名前から略して「ドラレコ」と呼ばれています。
この「ドライブレコーダー」、英語では"drive recorder"で良いのでは、と思うかもしれませんが、実は正しい英語ではありません。
もちろん"dorareco"ではまったく通じません。
今回は「ドライブレコーダー」の英語について解説します。
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「ドライブレコーダー」の正しい英語は”dashcam”
「ドライブレコーダー」は、英語で"dashcam"といいます。
この理由は、自動車のダッシュボードに固定しているカメラのシステムから来ています。
自動車に関連するカタカナ語はたくさんあって
- 日本語: ハンドル → 英語: steering wheel
- 日本語: ルームミラー → 英語: rearview mirror
などなど、数多くの和製英語がありますが、「ダッシュボード」は本来の英語に則って"dashboard"です。
"dashcam"は、"dashboard camera"が由来の言葉ですが、英語辞典にも掲載されている一般的な用語となっています。
dashcam noun
/ˈdæʃkæm/
a camera that is fixed to a car's dashboard (= the part in front of the driver, with the instruments and controls)自動車のダッシュボード(=運転席前方の計器類や操作部がある部分)に固定されたカメラ
Oxford Learner's Dictionaries (和訳は筆者による)
その他に
- car digital video recorder (car DVR)
- driving recorder
- event data recorder (EDR)
と呼ばれることがありますが、ダッシュボード以外に取り付けられていたとしても、最も一般的な英語は"dashcam"です。
世界初の「ドライブレコーダー」は、1930年代に米国ワシントンDCの警察車両に証拠撮影用として取り付けられたという記録があり、1960年代には警察車両に普及していたといわれています。
なぜ「ドライブレコーダー」と呼ばれるようになったかは不明です。
推測の域を出ませんが、航空機用の「フライトレコーダー」の英語は"flight recorder"で正しいので、ここからの連想で誤解されて広まった可能性もあります。
後方カメラの英語は?
ここまでの説明で「ドライブレコーダー」は"dashcam"と呼ばれることはわかりましたが、新たな疑問が出てきたかもしれませんね。
「ダッシュボード」というからには前方で、「後方カメラ」はダッシュボードには搭載されていません。
"dashcam"はカメラだけでなくそのシステム(系統)全体を指す言葉で、"dashcam system"とも表現することができます。
このシステムは前方カメラだけでなく、後方カメラも含めることができます。
前述のとおり警察車両に取り付けられたのがはじまりで、最初は前方カメラのみでした。
このシステムの名称は、後方カメラに拡張されても"dashcam"として残っています。
前後の両方があることを表したい場合
front and rear dashcams
dual dashcam system
と表現することができます。
後方カメラを指す英語
また、あえて「後方カメラ」を意味したい場合
rear-view camera
rear-facing camera
を使うことで、「後方カメラ」であることを表現できます。
全方位カメラの英語は?
近年では、前後だけでなく横方向も含めた「全方位カメラ」も登場しています。
「全方位カメラ」は英語で
360-degree camera system
surround-view camera system
と表現することができます。
ドライブレコーダーの中国語
ちなみに「ドライブレコーダー」を中国語でいうと、
行车记录仪 [xíng chē jì lù yí]
となります。
これを日本の漢字で書くと
行車記録儀
なので分かりやすいですね。

“Now on rec”は正しい表現?
自動車のステッカーなどで見る"Now on rec"の表現も、英語としては正しいといえません。
これはおそらく"Now on recording"を略して書いたつもりと思われるのですが、この表現も適切ではありません。
もし"on"を削除して
Now recording
であれば英語としては正しいですが、意味としては「録画を開始したところ」という感じになるため、ステッカーの意味とは異なります。
Now being recorded
であれば、「録画中」を意味して、たった今ではなく「録画している」という適切な意味になります。
もしくはもっと簡単に
Recording now
であれば「録画中」の意味として捉えることができます。
日常生活には英語由来のいろいろなカタカナ語や間違った英語が定着していますが、これが正しい英語を知る妨げにならないよう、使う英単語はしっかりと押さえておきたいですね。






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