冠詞と無冠詞は日本語で簡単に理解できる!
英語には"a"と"the"という「冠詞」があって、時にはこれらがつかない「無冠詞」がありますね。
一見、日本語にはなさそうなので、理解に苦しむ壁だと思います。
英語の会話・読み書きや翻訳といった日常においてネイティブの感覚を書き表した記事となりますが、冠詞 aとthe・無冠詞は日本語で考えてみるとすぐに理解できます。もしかすると、10秒で理解できるかもしれません。
注: 筆者は言語学者ではないので、言語学専門の観点ではありません。
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実は日本語にもある冠詞 aとthe・無冠詞
日本語は、いろいろな言葉を省略しても伝わる言葉なので あまり意識しませんが、冠詞 aとthe・無冠詞にあたるものは日本語にもあると考えて差し支えありません。
冠詞 aとthe・無冠詞を10秒でざっくりと説明
冠詞と無冠詞は多くの場合、下記の日本語に相当して、つけても(違和感なく)文脈が成り立つものです。
- 冠詞 "a"は、日本語で言えば「ある○○」
- 冠詞 "the"は、日本語で言えば「その○○」
- 無冠詞は、上のどちらにも当てはまらない、多くの場合は一般的な対象を指すもの。日本語で言えば、「あらゆる○○」
この説明で、感覚的につかめそうでしょうか?
「これだけでは わかりづらい」と思われるかもしれませんので、もう少し説明を加えます。
先に無冠詞の方から説明します。
無冠詞の使い方
衣料品などで「男性向け」「女性向け」の表現があります。
また、「子供向け」といった表現もあります。
- For men
- For women
- For kids
これらの例を見てみると、「向け」を意味する"For"以外の共通点があります。
- 無冠詞
- 複数形
という共通点です。
日本語で見ると、上記の「一般的な対象」で、特に限定しない「男性全般」「女性全般」「子ども全般」になります。
この意味の場合、
- For
themen - For
thewomen - For
thekids
は間違いになります。
無冠詞は「特に限定しない」ことを表すもので、すべてが複数形とは限りません。
これ以外に、簡潔に見やすくするためなどの目的で、あえて冠詞を省いて文章の体裁を整える場合などがあります。
例えば、プレゼンテーション資料や操作マニュアルなどで見られる表現です。
これらは本来の無冠詞とは意味合いが異なってきます。
冠詞 aとtheの使い方
はじめの説明で、"a"は「ある」に、"the"は「その」に相当するとしました。
例として日本語で「ある村」というと どんな感覚でしょうか?
昔話に出てきそうな、「別にどこであるか特定する必要はないけど、ひとつの村」ではないでしょうか?
このお話の続きで、「その村では…」と続いたら、最初に出てきた「ある村」であったお話が続くものと理解しますね。
このように、「ある村」の場合は、"a village"として表すことができます。
続く「その村」になると、"the village"として表すことができます。
同様に「ある男」が登場した場合は"a man"になり、「その男」の場合は"the man"になります。
日本語は語彙が豊富な言語です。
文脈によって、いろいろな訳し方ができます。
例えば
He is the man.
という文章は、上記のように
彼が、その男だ。
になりますが、
彼こそが、その男だ。
のように"the"自体が「その」を強調する存在にもなりえます。
その他、"a"は単数形とあわせて使うので、対象が複数の場合は"the"になりますね。
眼鏡(glasses)・ズボン(【英】trousers, 【米】pants)・はさみ(scissors)などは、もともと対で構成されている物の単語ですので、"a pair of glasses"のように表現します。
また、「ある○○」の意味の通り、もともと世の中にひとつしか存在しない場合、"a"ではなく"the"になります。
The sun is rising.
太陽が昇っている
このように、もし"a sun"にしてしまうと「ある太陽」ということになり、不可解になってしまいます。
冠詞 aとthe・無冠詞の端的な例文
今までの例から考えて、次の例文を訳してみましょう。
I have a fantastic pen. It is the pen of pens!
はじめに直訳です。
私は(ある)素晴らしいペンを持っています。それは(あらゆる)ペンの中で、(その)ペンであるものです。
日本語としては違和感はありますが、冠詞を考慮することで、より意味が通じるのではないかと思います。
では、もう少し自然な日本語訳にしてみましょう。
私は、素晴らしいペンを1本所有しています。これはあらゆるペンの中で、これこそがペン、といえるものです。
他にも良い日本語訳はありますが、ここで「1本」としたのは"a"は単数で英語には量詞がないことを補って、所有している中で「ある素晴らしいペン」という話の「つかみ」からはじめ、次の説明で「そのペン」がどれほど素晴らしいものかを説明しています。
ざっくりとではありますが、冠詞 aとthe・無冠詞について、感覚的につかめたでしょうか?
頭ではなんとなく理解できたけど、使えるかどうかは…という方は多いと思います。
最初は日本語で考えてみたとしても、その感覚が自分のものになれば、日本語も英語も同じように自然に出てくるようになるはずです。
ここまで読むとおよそ3分になると思いますが、もしよかったら練習も兼ねて、有名な昔話「桃太郎」を例に、aとtheの使い方を見ていきましょう。
桃太郎の昔話から考える冠詞 aとthe・無冠詞
桃太郎の話は長いので、最初の部分だけ見ていきましょう。
この日本語と英語は、Kudo Masahiroさんのサイトから引用させていただきました。
(http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Gaien/7211/top.html - 現在は閉鎖)
この英訳はシンプルでありながら、自然な訳になっています。
まずは日本語
むかし、むかし、ある所におじいさんとおばあさんが住んでいました。おじいさんは山へしば刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行きました。すると大きな桃が流れてきました。
Kudo Masahiro
そして英語
Long, long ago, there lived an old man and his old wife in a village. He went to the mountain to gather woods. She went to the river to wash the clothes, then a big peach came floating down the river.
Kudo Masahiro
ある村
最初に、「ある所に」とあります。これは英語では"in a village"(ある村に)となっています。この場所は、物語の最初に出てきて、でも特定するべき場所ではないので、"a"となっています。
おじいさんとおばあさん
次に、「おじいさん」が初登場します。これは"an old man"で、同じく"a"となっています。「あるおじいさんと…」とすれば、意味が通ります。
その次は「おばあさん」の登場です。このおばあさんは"his old wife"として登場します。つまり、先に出てきたおじいさんの奥さんですね。だから「あるおばあさん」ではなく、"his"(彼の)として、先に出てきた「おじいさん」と関連付けられています。
山へ しば刈り・川へ洗濯
もう少し先に進めます。「おじいさんは山へ しば刈りに、おばあさんは川へ洗濯に」と続きます。英訳ではそれぞれ"he"(彼)と"she"(彼女)となっています。
ここに日本語と同じ「おじいさん」と「おばあさん」という単語を充てる場合、さっき出てきた「おじいさん」と「おばあさん」を指しているので、それぞれ"the old man"と"the old wife"となるでしょう。
それぞれが行ったところは"the mountain"と"the river"となっています。
初登場の山と川ですが、"the"がついていることによって、既に紹介された、おじいさんたちが住んでいる「その村」 "the village"にある山と川であると推測できます。
おじいさんは「しば刈り」ですが、英語では"gather woods"と訳されています。
これは、薪になりそうな木を集めたと思いますが、何か特定の木だけを決めて集めたわけではないと考えられます。
"gather woods"は、「(薪になりそうな)あらゆる木を集めた」という観点で見ると自然でしょう。
一方、おばあさんの方はというと、日本語の「洗濯に」の部分は、英語では"wash the clothes"となっています。話の内容からの推測ですが、洗濯物はおそらくおじいさんとおばあさんのもので、1枚ではなかったのでしょう。
桃
次に「大きな桃」が初登場になります。
今まで見たことがない桃が初登場なので、"a big peach"と表現されています。
どこに流れてきたかというと「おばあさんが洗濯に行った、その川」ということで"the river"となっていますね。
このように、冠詞・無冠詞は、「ある」「その」「あらゆる」のように対象を明確にして、話のつながりを生むための言葉でもあります。
最初は、英語で迷ったら、日本語で考えてみるのもよいでしょう。
こんな感覚が身についてくると、自然に"a"と"the"の使い分けができるようになってくると思いますよ。
今回もお読みくださり、ありがとうございました。
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