「猪八戒が鏡を見る」 - その心は?
中国語では、後の言葉は
里外不是人
[lǐ wài bù shì rén]
と続きます。
全体では
猪八戒照镜子,里外不是人
となって、
猪八戒が鏡を見たところで、鏡の中も外も人ではない
という意味になります。
本来、歇後語は湾曲表現なのですが、ここには「裏の意味」はありません。
なので、「その心」は
人でなし
という、何ともストレートな意味になります。
猪八戒は、もともと天界の天の川を司る「天蓬元帥(てんぽうげんすい)」(中国語で"天蓬元帅" [tiān péng yuán shuài])でしたが、酒の席で「嫦娥(じょうが)」(中国語で"嫦娥" [cháng é])に言い寄ったため、天界を追われた後、誤って雌豚の胎内に入りって豚の妖怪となったという設定です。
猪八戒は醜い役ではあるものの、地上では善良な心に入れ替え、純朴で温厚、力も強く苦労に耐え、勇敢に幸せな生活を追求する姿が描かれてながらも、普通の人が持っているすべての欲望を持っていて、それらを隠すことなくさらけ出すという率直さゆえに、憎しみを感じさせるのではなく、むしろかわいいと思わせる「愛されキャラ」なのです。
仲の良い友人に対してであっても、「人でなし」という、ひどい罵りは冗談でも許されるものではありません。
それでも、猪八戒を引き合いに出すことによって、それを言ったらおしまい!の言葉が表現できてしまうのです。(もちろん、普通は使いません!)
これは、中国人であればみんな知っている《西游记》、その中の愛されキャラ 猪八戒の人となり(?)まで理解しているからこそ成り立つという、何とも中国らしい壮大な湾曲表現を見た気がしました。
この他にも、猪八戒はいろいろな歇後語や比喩などで登場しますので、またご紹介する機会も出てくると思います。
今回もお読みくださり、ありがとうございました。
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