中国語で表現する調理方法のいろいろ
日本にもいろいろな調理方法があって その表現も多岐に渡っていますが、中国においても同様で その表現方法もたくさんあります。
日本語と近い表現も多いものの同じとは限らないところが、悩みどころでもあり、面白いところです。
今回は、中国語でのいろいろな調理方法を見ていきましょう。
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中国語の調理方法のいろいろ
中国語では主に次のような調理方法があり、動詞として使います。
煮 [zhǔ] = 茹でる
いちばん違和感があるのが"煮"ではないでしょうか。
辞書には「物を水に入れて、火で水を沸騰させる。」と定義されていますが、沸騰した湯の中に入れる場合にも使うことができます。
ただ、ここには味付けは含まれていませんので、日本語の「茹でる」という意味になります。
例: 煮饺子 [zhǔ jiǎo zi],煮饭 [zhǔ fàn]
日本語の「煮る」に相当する言葉は、後述する"炖" [dùn]や"焖" [mèn]または"卤" [lǔ]などが使われます。
蒸 [zhēng] = 蒸す
この表現は日本語と同じですね。中国にはいろいろな蒸し料理がありますね。
例: 蒸饺子 [zhēng jiǎo zi],蒸饼 [zhēng bǐng]
烤 [kǎo] = 焼く
中国語で「焼く」を表す言葉は"烤"が一般的です。
焼き方によって、後述する"烧"や"煎"を使う場合もあります。
例: 烤肉 [kǎo ròu],烤鸭 [kǎo yā],烤红薯 [kǎo hóng shǔ]
烧 [shāo] = あぶり焼きにする
中国語で"烧"(日本の漢字で「焼」)を使う場合もありますが、この場合は「炎で食材を直接加熱」という意味合いが強く、食材の表面をカリカリに焼く(そして内部まで火を通す)という調理法を指すのが一般的です。
例: 烧茄子 [shāo qié zi],红烧肉 [hóng shāo ròu]
炒 [chǎo] = 炒める
日本語の「炒める」と同じです。中国ではおなじみの調理法であることはいうまでもありませんね。
例: 炒菜 [chǎo cài],炒饭 [chǎo fàn],炒面 [chǎo miàn]
炸 [zhá] = 揚げる
日本語の「揚げる」は"炸"を使います。炸"は多音字で「揚げる」時は[zhá]です。
例: 炸鸡 [zhá jī],炸丸子 [zhá wán zi],炸鱼 [zhá yú]
煎 [jiān] = きつね色に焼く・煎じる
"煎"という調理方法には、大きく2つの意味があります。
ひとつめは、少量の油で表面をカリッとさせる焼き方です。
この方法には、さらに少量の水を加えて蓋をすることで蒸し焼きにする場合も含まれます。
いずれの場合も、表面に焼き色をつける調理方法となります。
例: 煎馒头 [jiān mán tóu],煎鱼 [jiān yú],煎豆腐 [jiān dòu fu]
もうひとつは、日本語と同様に「煎じる」の意味で、お茶だけでなく、薬を煎じるという場合にも使えます。
例: 煎茶 [jiān chá]
爆 [bào] = 強火で焼く・軽く揚げる
この"爆"は、短時間で高温で急速に調理する方法を意味しています。
強火で焼いたり軽く揚げたりすることで、サクサクな食感に仕上がります。
例: 油爆 [yóu bào],葱爆 [cōng bào]
焖 [mèn] = 煮る
こちらが味付けを含めた「煮る」の一般的な表現のひとつです。
肉・魚・野菜など、さまざまな食材に用いる言葉で、蓋をして煮ることも含みます。
例: 焖饭 [mèn fàn],焖牛肉 [mèn niú ròu]
炖 [dùn] = 煮込む
もうひとつの「煮る」という表現です。
主に肉類の料理に使われる言葉で、弱火で長時間コトコトと煮る調理方法です。
例: 炖牛肉 [dùn niú ròu],炖锅 [dùn guō]
卤 [lǔ] = 煮る
塩水か醤油といった調味料を加えて煮ることを意味します。
例: 卤肉饭 [lǔ ròu fàn],卤蛋 [lǔ dàn],卤鸡 [lǔ jī]
「ルーローハン」という料理は、よく知られているものかもしれません。
日本では「魯肉飯」という漢字があてられていますが、台湾の繁体字では"滷肉飯"という漢字で、中国の簡体字では"卤肉饭"となります。
この料理には、この「煮る」という意味が含まれています。
烩 [huì] = 少量の水で煮る
「煮る」のもうひとつの表現ですが、少量の水で煮ることによって、完成時にはとろみが出るような感じです。
とろみをつけることもありますが、日本の中華料理で見る中華あんのとろみよりも自然なとろみとなります。
例: 烩饭 [huì fàn],烩虾仁 [huì xiā rén],烩什锦 [huì shí jǐn]
熘 [liū] = 炒めたり煮たりしてとろみをつける
"熘"の特徴は、とろみをつけることです。
日本の中華料理でおなじみの中華あんはこの方法で片栗粉などで多くのとろみをつけますが、あんの量はごく少量から日本でおなじみの量まで幅広くあります。
しかしながら、中国の料理全体から見るとごくわずかであることは意外かもしれません。
例: 熘丸子 [liū wán zi],熘虾仁 [liū xiā rén]
熏 [xūn] = 燻製にする
日本語で「燻製にする」という意味です。中国の漢字では火偏はありません。
例: 熏肉 [xūn ròu],熏鱼 [xūn yú],熏豆腐 [xūn dòu fu]
日本語は擬声語や擬態語が多いため、例えば「煮る」という表現でも「コトコト煮る」「ぐつぐつ煮る」などの表現がありますね。また、「じっくり煮る」などの形容詞とあわせて表現することも多いですが、中国語では動詞が細かく分かれていることは興味深いところです。





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